眼鏡 ページ34
事故から一週間。
個室で一人。
足が動かないからベッドで寝たきりの状態が続いて地獄のような日々。
外に出たい。歩きたい。
私は窓から外を眺めることしかできなかった。
放課後や休日にみんながお見舞いに来てくれる。その時は楽しくて安心できるのに、一人になると嫌なことをたくさん考えてしまう。
これからの生活を考えると怖くて、不安で泣きそうになる。
コンコン
誰かがドアをノックする。私は急いで涙を拭う。
看護師さんかな?
治「A〜入るで〜」
治くんだった。
『治くん!部活で疲れてるはずなのに...来てくれてありがとう(⌒∇⌒)』
上手く笑えてるかな?
治「A...さっき泣いてたやろ」
治くんにバレていた。
『そ、そんなことないよ!目にゴミ入ったから涙出たの!』
治「噓つくの下手くそやな。バレバレや。俺の前では強がらんでええよ」
治くんはまた私を抱きしめてくれた。
治くんの優しい声が私の抱えていた思いが一気に溢れ出す。
『一人になると考えてしまうのっ...私...このままずっと一人でこの部屋にいないといけないのかな。足...動く気がしないの。ただでさえ目が見えないのに...みんなに迷惑かけてばっかりで本当にごめんね...』
治「迷惑とか誰も思ってへんよ。ルカ達も俺もAが頼てくれて嬉しいんや」
私はみんなから「何かあったら言って」と言われたことを思い出した。今思えばもっと頼って、甘えてって言ってるようにも感じる。
『ありがとう...もっとみんなを...治くんを頼ろうかな』
治くんに励ましてもらって落ち着いた頃
治「A。」
治くんに呼ばれ何?と返事をしようとすると眼鏡を外された。
『治くん...眼鏡はずしたら何も見えな』
肩を掴まれて
口に何か柔らかくて温かい物を感じた。
目が見えなくても何されているのか分かった。
治くんにキスされてる。
治くんの鼓動
治くんのいい匂いがあの時体育で転んだ時以来、また伝わってドキドキする。
治「っ悪い...安心するAの顔が可愛くてつい...//」
『そ、そんなことサラッと言わないでよ//』
治くんのおかげでさっきまでの不安は消えた。
突然のことでドキドキして、私は治くんから目が離せなくなっていた。
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作者名:うぃるうぃる | 作成日時:2022年1月15日 23時