青い鳥と魔法の色*１ ページ32
学院内は所々電気が消してあって校庭の方から漏れている光を頼りに、廊下を全力で駆ける。
そして曲がり角を曲がったそのとき。
「わぷっ、」
「わわっ。びっくりしたぁ……」
誰かの胸に飛び込んでしまったらしく、ぽすっ、と音がした。
「怪我はないですか？すみません、俺どんくさくて……」
「俺こそごめんなさい！」
見ると、眼鏡をかけていて笑顔が優しそうな人だった。先輩かな？
「俺、青葉つむぎって言います。そんなに焦ってどうかしましたか？えっと確か……Aくん、でしたよね？」
「そうですけど……どこかで会いましたっけ？」
「いえいえ、今回が初めましてですよ。ただ、俺のクラスでよく話題に上がるんです♪本当に女の子と勘違いしちゃうほど可愛いですね〜」
それは俺としては誇っていいのだろうか。まあ悪気はないんだろうな、この人。
「というか、Aくんが持っているその服。確かこの前宗くんが作っていて、満足できる値に達しなかったときのですか？」
「？経緯はよくわかんないですけど、これはさっき影片先輩に会った時に＿＿……」
(数分前、廊下にて)
「いたぁ！ぜぇ、はぁ……か、かげ……はぁ、影片せん……ぜぇはぁ、せんぱっ、い！」
「んあ？って、Aちゃん！？」
俺のただならぬ勢いに驚いたのか、影片先輩は目を大きく見開いている。
「あのっ、ぜぇはぁ……ワ、ワンピー……ぜぇ、はぁ」
「えっと、落ち着いて一回深呼吸しよな。そないに慌ててどないしてん？」
影片先輩に背中を摩ってもらい呼吸を整える。やっといつもの調子に戻ってきたところで、俺はばっと影片先輩の手を掴んだ。
「お願いします！あのワンピースを少しだけ舞台用にアレンジさせてください！！」
「えっと、まったく話が読めへんのやけど」
困り顔になる影片先輩に、急遽舞台に経つことになったから、あのワンピースをユニット衣装として使えないかと思い了承を取りに来たことを、諸々の事情を省きながら伝えた。
暫く聞いていた影片先輩は、んんーと唸り、
「Aちゃんの事情はなんとなく分かったんやけど、そのワンピース作ったんはお師さんやし、おれが単独で判断できひんよ」
「っ、そんなぁ……」
「んぁあっ、そない泣きそうな顔せんとって！せやけど、聞く話によると初舞台なんやろうし、しゃんとした衣装が欲しいのはわからなくもないで」
影片先輩は顎に手を当てて何かを考えると、不意に瞳を輝かせて、
「そうや！手芸部になら、アレンジしても怒られへん衣装が何着かあったはずや！ほんでええなら、つこうてくれる？」
「本当ですか！？ぜひ使わせてください！」
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koeno(プロフ) - めっちゃ面白かったです！！素敵なお話をありがとうございました！もし続編を書かれるのであればぜひパスワードを教えていただきたいですー！！ (4月7日 0時) (
レス) @page49 id: 3ec6efc790 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 続編みたいです！ (4月2日 17時) (レス) @page49 id: 54e2cad7a6 (このIDを非表示/違反報告)
0nm3264922j626v(プロフ) - 続編めっちゃ読みたいです！是非！お願いします！ (4月1日 20時) (レス) id: 203b2c7fc8 (このIDを非表示/違反報告)
ただのヲタク(プロフ) - 続編読みたいです！すごく楽しく読ませてもらいました！ (3月30日 9時) (レス) @page49 id: 9a68619e2b (このIDを非表示/違反報告)
ダイ - もう、めちゃくちゃ面白かったです！受験勉強後回しにして(？)2日で読み終わりました！ぜひ！続編読ませて欲しいです！ (2月26日 23時) (レス) @page49 id: aa1dedb486 (このIDを非表示/違反報告)
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