lethal weapon*５ ページ31
これはちょっと断る方向しかない。たとえ天祥院先輩の頼みでも＿＿
「A」
「はっ、はい！」
天祥院先輩に名前を呼ばれ、すっと背筋を伸ばす。
「君がアイドルとして活動していないのは意欲がないからではなく、やり方がわからなかったからと僕は解釈していたのだけど」
言葉の端々にトゲを感じて、思わずふいと視線を逸らしてしまう。
「君は票を必ずや集めてくれると期待しているからこそ、僕はこうして頼んでいるんだよ」
「そんな……俺を過大評価しすぎですよ。俺なんかホントにまだまだで」
「そんなことはないさ。それに君を信用していなければ、他の新人アイドルを余興に使うことだってできた」
細くて綺麗な手を伸ばし、俺の手を包み込むように優しく握る。
「Aが自分のことを信じていなくても、僕は……君の可能性を信じているよ」
「先輩……」
握られた手はほんの少しだけ冷たくて、俺に笑いかけてくれる顔はまさに天使で……本当にこの世のものなのか疑わしいくらいだ。それに、
「ずるいなぁ。そこまで言われて断れるはずないじゃないですか」
困った笑顔を返せば、先輩はふわりと花を咲かせるように口元を綻ばせた。
「Aならそう言ってくれると思ってたよ」
なんという罠に嵌められた感じではあるけど……。まあ一票くらいならどうにか……で、できる、かなぁ？なんか不安になってきたぞ？！俺無名だし？素人だし？だ、大丈夫かな。
「……あっ。専用曲とか衣装とか、俺持ってませんよ？」
「曲なら大丈夫。学院から貸し出せる曲があるし、その中に一年生が授業で使っているものもあるから即席とは思えないレベルのパフォーマンスになると思う。まあ君次第だけど」
その辺は万事オーケーってことか。まさか授業で習っていた曲をお客さんに見せる日が来るとは思わなかった。
「衣装に関しては学院から支給されているものがあるだろう。 今回はそれを使ってもらうことになる」
そこまで言うと、俺を気遣うような顔をして、ごめんねと不意に謝ってきた。え、なんで？
「初舞台だから専用衣装があった方が良いのだけど、そこまで手が回らなくてね」
「ああ、そんなことですか？ 大丈夫ですよ」
「少なくとも元となる素材があればアレンジ可能性だったんだけど……」
ため息をつく天祥院先輩。
そこまで気にしなくても良いのに。元となる素材ねぇ、そんなの都合よく──あ。
「……元となる素材って、なんでもいいんですか？」
それなら、あるな。
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koeno(プロフ) - めっちゃ面白かったです！！素敵なお話をありがとうございました！もし続編を書かれるのであればぜひパスワードを教えていただきたいですー！！ (4月7日 0時) (
レス) @page49 id: 3ec6efc790 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 続編みたいです！ (4月2日 17時) (レス) @page49 id: 54e2cad7a6 (このIDを非表示/違反報告)
0nm3264922j626v(プロフ) - 続編めっちゃ読みたいです！是非！お願いします！ (4月1日 20時) (レス) id: 203b2c7fc8 (このIDを非表示/違反報告)
ただのヲタク(プロフ) - 続編読みたいです！すごく楽しく読ませてもらいました！ (3月30日 9時) (レス) @page49 id: 9a68619e2b (このIDを非表示/違反報告)
ダイ - もう、めちゃくちゃ面白かったです！受験勉強後回しにして(？)2日で読み終わりました！ぜひ！続編読ませて欲しいです！ (2月26日 23時) (レス) @page49 id: aa1dedb486 (このIDを非表示/違反報告)
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