デウス・エクス・マキナ*１ ページ18
DDD本番。
俺は零先輩との約束を守るため、蓮巳先輩に頼み込んで最初の一回だけライブを観戦させてもらうことに成功した。
………だけど。ぶっちゃけ、お手伝いしとけば良かったと後悔している。
「知り合いVS知り合い、か……。どっち応援しよう」
周りに聞こえないよう呟く。点数を入れるためのサイリウムが未だに消灯しているのは、ここにいる人たちの中でも俺くらいなものだ。
考え込みながらも、アイドルが競いあっている舞台上を見上げる。
そこには、TrickstarとKnightsの面々が対峙していた。しかしTrickstarのメンバーは、ここ数日お世話になった衣更先輩と、覆面を被った謎のアイドルだった。いやマジで誰。
つか、衣更先輩は紅月に入り直したんじゃ？
もう一人はそういうキャラならなんとも言えないけど、顔が重視されるアイドルにとってその武器を隠すって致命的だし。
そんなことを分析しつつ、非情にもこれはKnightsが勝つかな、と考えていた矢先。
「おや、ここにおったのかえ。こんな後列で観とらんで、もう少し前に行ってはどうじゃ？」
「あっ零先輩。俺はここで大丈夫ですよ。ファンの子たちに悪いですし」
「ふむ、それなら良いんじゃが」
いつの間にか近くに零先輩がきていた。
優しげに目を細めて、小動物を愛でるように優しく俺の頭を撫でる。
しばらく目を瞑ってされるがままになっている俺に、零先輩はふっと笑うと「それより」と言葉を紡いだ。
「お願い、聞いてくれたんじゃな。Aくんはほんに良い子じゃのう」
「あはは。昨日迷惑かけちゃったんで」
零先輩の言う『お願い』というのは、羽風先輩を連れてくる代わりに、Trickstarの一回戦目のライブを観戦することだった。
蓮巳先輩だから許してくれないだろうなと踏んでいたけれど、思いのほか簡単にお許しが出た。明日は大雪ですね、って言ったらメチャ睨まれたからビビったわ。
「して、Trickstarのライブの感想はいかほどのものかのう？」
「んー、俺があーだこーだ言うのもあれですけど……。Knightsが優勢、かな。戦力になってるのは衣更先輩だけっぽいし」
覆面の人は歌っていないし、ダンスも素人より少し踊れるレベルだ。天地がひっくり返るようなことがない限り、勝機はゼロに近いだろう。
「妥当な結果じゃな。………しかし、世の中には、理屈で考えられないこともある。ほれ、吸血鬼がいるくらいじゃし？」
「……？そういうもんですかね？」
謎の含み笑いに、俺はただ首を傾げた。
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koeno(プロフ) - めっちゃ面白かったです！！素敵なお話をありがとうございました！もし続編を書かれるのであればぜひパスワードを教えていただきたいですー！！ (4月7日 0時) (
レス) @page49 id: 3ec6efc790 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 続編みたいです！ (4月2日 17時) (レス) @page49 id: 54e2cad7a6 (このIDを非表示/違反報告)
0nm3264922j626v(プロフ) - 続編めっちゃ読みたいです！是非！お願いします！ (4月1日 20時) (レス) id: 203b2c7fc8 (このIDを非表示/違反報告)
ただのヲタク(プロフ) - 続編読みたいです！すごく楽しく読ませてもらいました！ (3月30日 9時) (レス) @page49 id: 9a68619e2b (このIDを非表示/違反報告)
ダイ - もう、めちゃくちゃ面白かったです！受験勉強後回しにして(？)2日で読み終わりました！ぜひ！続編読ませて欲しいです！ (2月26日 23時) (レス) @page49 id: aa1dedb486 (このIDを非表示/違反報告)
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