Open-ended*3 ページ7
「フムフム。生徒会の不敗神話が崩れる、ですか」
夢ノ咲の公式サイトは早くもその情報が大々的に取り上げられコメントが殺到している。先輩は俺の端末の画面を覗き込むと、たんたんと情報を読み上げていた。
「ドリフェスの情報は放送委員会が一任しているようですし、おそらく子ウサギさんが一枚噛んでいるのでしょうね」
「呑気にしてる場合じゃないですよ!見てください、これ……っ、」
コメント欄を見て焦る。
そこにはTricksterを賞賛する他に、蓮巳先輩たちへの心無い言葉が並んでいた。
裏切られただの、見てらないだの。中には人格否定のようなものまであった。
「ひどい。誰がこんな……」
その瞬間、俺はいつぞやのテニスコートでのことを思い出した。人気のないアイドル……つまり負けたアイドルには何をしたって何を言ったっていいってこと?虐げて、傷つけてもいいの?
あのときちゃんと零先輩たちを止められていたら。
あのときもっとしっかり注意していたら。
「俺が、俺のせいで……」
こんなの正当な結果じゃない。こんなの間違ってる。こんなの……
「貴方、随分と酷なことをおっしゃいますね」
「は、?」
俯きかけていた頭を上げて、しれっとした先輩を見やる。
「ステージに上がった時点でそれはもう勝負なんです。今回のライブは、言うならば彼らの作戦負けです。彼らなりに最善を尽くしたというのに、自分のせいだ、なんて仰られては彼らが報われませんよ」
「でっでも!」
「しぃ」
人差し指を口元に当てて微笑むと、子供をあやすように俺の頭を撫でる。
「右手の人を想うなら、どうかこれ以上何も言わないでください」
それと、と。
「その顔はいただけませんね」
先輩が優しく俺の目尻に触れた。そのときになって初めて自分が泣いていることに気付いた。
こんなの全然、俺らしくないのに。
気づいてしまったら涙腺は崩壊寸前で。
「せんぱ、い」
「はい」
「お、ぉれ。アイドルとか、しょ、勝負とかっ。よくわかってなくて。負けても、いいステージならいっかって思っててっ。でもなんか、負けちゃったの見たら、苦しくなって!」
だめだ。溢れだしたら止まらない。
「なんにもしてあげられなかったのも、すごい、悔しくて!」
支離滅裂だ。
それでも先輩はうんうんと聞いてくれていて。
「せめてちゃんとしたステージで歌ってほしかった!!日々樹先輩は、作戦負けって言ったけど、それでも、あんなんズルいじゃんか!!」
「……そうですね」
背中をさすってくれる先輩。その手つきがとても優しくて、余計に涙が溢れた。
1415人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
yukki(プロフ) - 続けてくださって嬉しい限りです!これからも応援しながら作者様の作品を読ませていただきます!! (2020年1月11日 23時) (レス) id: c7ca82405e (このIDを非表示/違反報告)
すみぃ(プロフ) - 続けて下さってほんとに嬉しいです!!pixivあんまり詳しくなくて作者様の作品見れるか不安なんですけど勉強します!!これからも影ながら応援しております!頑張ってください! (2020年1月11日 19時) (レス) id: f77c46eafb (このIDを非表示/違反報告)
「なる。」(プロフ) - 作者様の書き方がとても好きですし、凄く読みやすいと感じています。なので、占いツクールでの活動を続けるという決断をなされた事が、凄く嬉しいです。最後になりましたが、更新、楽しみにしながら気長に待ってます。 (2020年1月11日 12時) (レス) id: 61cc988ea5 (このIDを非表示/違反報告)
「なる。」(プロフ) - こんにちは。突然ですが、コメント失礼します。占いツクールでの作品の書き方ですが、台本書きでは無い他の作者様も大勢いますし、現に私も台本書きはしていません。書き方は作者様の自由なので、台本書きでも、台本書きじゃなくても、どちらでもいいと思います。私は、 (2020年1月11日 12時) (レス) id: 61cc988ea5 (このIDを非表示/違反報告)
Tatutatu(プロフ) - この作品とても好きです!続ける決断をなさってくれてとても嬉しいです……! (2020年1月11日 10時) (レス) id: b586c3b914 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ