テニス部*１ ページ32
弓道場から出て正門に向かうと、少し離れた所にテニスコートが見えた。そういえば夢ノ咲は部活強制参加なんだっけ。俺も早くどこかに入部しないとなぁ。
好奇心でフェンス越しからコート内を見てみる。すると、たまたま中にいた人と目が合った。
「…………」
「えっと……？ど、どうしました？」
その人はフェンス越しに俺の目の前まで来ると、何も言わずにこちらを見つめて首を傾げた。
綺麗な赤い瞳は兎のように愛らしくて、つい見惚れてしまう。
「……？」
「あっ、ごめんなさい！じっと見て」
小さく頭を下げると、目の前の彼は困ったように笑った。さっきから一言も喋らないけど、大人しい人なのか、それともシャイな性格なんだろうか。
もしくは、アイドルは声が大事だから日常生活であまり使いたくないとか？
「……ん、なんですか？手招きなんかして……」
そう問えば、彼はテニスコートの入り口を指さす。なんだろう？中に入ってこいってこと？
とりあえず従おうと思い、コート内にお邪魔させてもらうことにした。
「え、っと……こんにちは」
「……」
やはり何も言わずに、口元を綻ばす彼。え、えぇ？この後どうすればいいんだろ。とりあえず名前を名乗った方がいいのか……？
「俺、城崎Aっていいます。一年生です」
「ん。おれは、仁兎なずな。三年生」
高校生特有の声変わりの時期なのか、少し掠れながらも名乗り返してくれた。しかし、すぐに口を閉じてしまう。
「仁兎先輩、ですね。よろしくお願いします！」
コクコク、と無言で何度も首を振る。あ、やっぱり可愛いなぁ。改めて見ると、肌は白いし髪も艶々だし。
みんな俺を女の子だと勘違いしてくるけど、この人の方がよっぽど女の子らし──ってダメダメ！女の子みたい、なんて自分が言われて嫌なことを他人に言うもんじゃないよな。
なんて考えていると、いきなり仁兎先輩が俺の制服の裾をちょんと引っ張った。
「……？どうしました？」
見れば、ベンチがある方を指で示す彼。
「ベンチ……あ、座るってこと？」
仁兎先輩は首肯した。そして、もう袖を離してくれても良いのに、なぜか掴まれながらベンチに移動する。
近づいていくと、ベンチには既に先約がいた。ちまっこくて、淡い桃色の髪の毛がふわふわしてて──
「──って、姫宮じゃん！」
「うにっ！？」
俺が声をかけると、小さく悲鳴を上げてこちらを凝視するクラスメイト。ついでに仁兎先輩もビクッとしてた。
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苺バニラ(プロフ) - りなさん» ありがとうございます！そう言って頂けると、嬉しい限りです！更新が遅めになっていて申し訳ない気持ちで一杯ですが、これからも頑張ります！ (2019年8月20日 14時) (
レス) id: 563228d52f (このIDを非表示/違反報告)
りな - 凄く良かったです!!面白かったです!!更新無理をせず頑張ってください！応援します!! (2019年8月20日 10時) (レス) id: 55c1958e88 (このIDを非表示/違反報告)
苺バニラ(プロフ) - りさこさん» ありがとうございます(*´ω｀*)とっても嬉しいですし、励みになりました！りさこさんは優しい方ですね！今後も頑張ります!! (2019年7月29日 7時) (レス) id: 563228d52f (このIDを非表示/違反報告)
りさこ(プロフ) - 更新お疲れ様です！とにかく最高でした！！これからも応援してます！！ (2019年7月29日 0時) (レス) id: c7281289de (このIDを非表示/違反報告)
苺バニラ(プロフ) - 夜桜ナイフさん» ありがとうございます！時間が空き次第でよければ、拝見させてもらいますね！ (2019年7月14日 16時) (レス) id: 563228d52f (このIDを非表示/違反報告)
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