【BL】兄の行き過ぎた愛を弟は受け止めきれるのか

兄愛２９ ページ30

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目が覚めたら、いい香りがしていた。

ムクっと起きれば、兄がキッチンに立っていた。
俺をみたら、いつもみたいに優しい顔で「おはよう」と。



「...聡？」

「どした？」



何か違う？
詳しくはわからないけど、今はいつもと何かが違う。
とりあえず、聞こう。



「聡、髪切った？」

「切ってないよ？」



違った。
まだだ。



「カラコンいれた？」

「元からだよ？」



また違った。
まだまだ。



「彼女できた？」

「お生憎、彼女できてません」

「メイクした？」

「これ俺すっぴんなの。ありがと♪」

「っ、聡なん」

「奏汰、向こう行ってなさい」



なんか違うよね？
って言おうとしたら遮られた。
なんだ？何が違う？



「ねえ」

「奏汰、向こう」



背中を軽く押される。
優しい顔なのに、何かが違う。



「しつこいよ」



だけど、その言葉で俺は動かざるを得なかった。



「...はい」



テレビをつけてボーッと眺める。
そんなテレビには、とある特集が。



「『恋する乙女は可愛くなる』...？」



ホルモンが分泌されるらしい。
さらに好きな人の理想に近づくために、自分を磨くから可愛くなるらしい。



「あっ、聡」

「ん？」



呑気にフライパンをひっくり返す兄。
一言。



「聡恋した？」



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