三面楚歌(シャンパン/フォンダントケーキ) ページ9
「さぁ、どうなのだ?人間……」
「…………」
「あ、あの……そろそろやめたほうが……」
「何故だ、フォンダントケーキ。まだこの人間との商談は終わっていない」
「Aさん、困ってます……」
「そうか。それで、A、どうなんだ?俺の妻になる心の準備はできたか?」
Aの店の前で、ずっとこの問答が繰り広げられていた。
相手はスパークリングロゼのような色の長い髪、白くて端正な顔立ち、長身で豪華な装飾の施された拳銃を身に携えた男性───シャンパンと、厳かで透き通った色合いの優しげな女性───フォンダントケーキと呼ばれた女性。
シャンパンを中心に話が始まり、フォンダントケーキは困り果て、Aは店の前で立ち往生している。
───……
事の発端は数十分前に遡る。
Aは大衆食堂のアルバイター。オープンと共に店を出し、店長とともにお客さんの相手をしている。
今日もそんな何もない日が訪れると思っていたが、店の前に白いクラウンが停まった事で、非日常は訪れた。車の中から件(くだん)の男性とその側近の女性が現れ、店に入ってメニューを頼んだ。
白を基調とした2人の洋装は大衆食堂にしてはかなり派手な部類で、大きめのテーブルに座って不満げな声を上げる。
異様な2人だったがお客様には違いない。
そう思い、Aは男の腰にたずさえられた拳銃をチラ見しながらも勇気を出して彼らにオーダーを取りに行った。
低姿勢、だが隙を見せないように。
至って、至極普通の接客をしたつもりだった。
でも、Aがオーダーの決まり文句の初めの言葉を述べた瞬間───シャンパンが大きく目を見開いた。
そしてテーブルから立ち上がり、棒立ち状態のAをきつく睨み見下ろした。
そして、
「気に入った。彼女を貰おう」
一言、Aをその長身で見下ろして、きつく睨んだ後に柔和な表情とそのビブラートの入った美声で言ったのだ。
───……
そして、今に至る。
「で、そろそろ決めてくれないか?立っているのもいささか苦労するだろう?私の椅子を使え」
……と、豪華な椅子を差し出される。
言われても、Aは店員なので座れない。
そういう立場ではないのだ。
「シャンパン、そろそろ本当に行かないと……時間が迫ってます。それにAは本当に困ってますわ」
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作者名:月石 | 作者ホームページ:https://plus.fm-p.jp/u/moonstone
作成日時:2023年9月9日 21時