コーヒーブレイク(コーヒー) ページ6
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コーヒー
「こんにちはA……」
ベルの音とともに、コーヒーの営む喫茶店に入ってくると、Aのコーヒーが両手を広げて盛大に迎えてくれた。
さながら、フォーマルなダンスパーティーの特別ゲストを迎えるように……。
コーヒーは、何故だかいつもより甘い声で、Aに囁きかけた。
コーヒー
「今日は私の特別な日だから、来てくれたんだね……
逢いに来てくれて嬉しいよ」
特別な日?
曖昧に言われてもAはわからない。
Aは彼に問うた。
コーヒー
「特別な日ってもしかして知らなかった?そうか。それならそれで別にいいけど。ああ、ごめんね、“別に良い”なんて、そっけない言い方になってしまったが、なんだか記念日をすっぽかされたみたいでね……。
でも、それならそれでかまわないさ。私は私で、もうそういう“ムード”になってしまってるからね……」
“ムード”と聞いて、Aは初めて気づく。
身の回りを見渡すと、喫茶店の中の様子がいつもより全然違う様(さま)になっている事を。
コーヒー
「A、このキャンドルライトと床に散りばめられた花々で構成された部屋、どうやら気になってるようだね?
部屋の中を漂う芳醇な香りも素敵でしょ?
この香りはAも知ってるとおり、私の香りだよ。この部屋はAがこの喫茶に来る時を見計らって、わざわざ私がこしらえたんだよ」
コーヒーがAの前でしゃがんで、床に散らばった花をひとつまみ、Aに見せてくれる。Aの片手を持って誘導されると、まるで花畑を歩くような気分にさせられる。
そこから漂ってくるのは、珈琲の優しい香りだ。
コーヒーはとても嬉しそうに笑う。
コーヒー
「この部屋にあるのはコーヒーの花だよ。白くて綺麗だと思わない?ほら、Aのこめかみ辺りにつけると素敵だよ。Aはもう、珈琲だよ。このままドリップして香りを楽しんで味わいたいくらい」
コーヒーは酔ってるんだろうか。
いつもより気取ってるというか、とてもドキドキする事を平気で言う。
きっと今日が特別な日だからだ。
コーヒー
「ここにはもう誰もいないよ。私とAだけ」
Aは言い聞かせていると、コーヒーは更に甘い声で、Aの髪を耳に掛けながら耳元でささやいた。
コーヒー
「さぁ、脱いで」
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作者名:月石 | 作者ホームページ:https://plus.fm-p.jp/u/moonstone
作成日時:2023年9月9日 21時