Food Garden (ページ12)

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三面楚歌4(佛跳牆/麻婆豆腐) ページ12

「聞いたか麻婆豆腐。俺の女を狙う不届き者がいるようだ。商談どころの話じゃなくなってきたなぁ？」

　佛跳牆はそう言ってAの体毎引き寄せた。
　無論、Aは全く覚えがない。
　そして彼の上等なスーツと長いショールはいくらするのだろう。引き寄せられて触れただけで心地よい気分になるじゃないか。
　その心を見透かされたように、たまたま視線がかち合った彼にフッ、と笑われ、カッと熱くなってもうどうにかしてほしい気分になった。
　
「あー……こほん、佛跳牆は商談相手のシャンパンの動揺をはかるためにこんな事をしてるんだと思うけど……彼の心中はごめんなさい。私にもわからないわ。もしかしたら本当に……かもよ？」
　
　Aの耳元でコソッと麻婆豆腐が補足とも言い難い補足を入れ、“大丈夫、彼がもしあなたの食霊になればかなり頼りになるから、側近の私が言うから間違いないわ”と何故か念押しされた。
　麻婆豆腐と佛跳牆の思惑通り、シャンパンの眉間には不服そうな皺が寄り、フォンダントケーキはその様子に余計に焦り、一触即発の空気である。
　店の中は完全にイレギュラーな事態となり、何かを感じとったお客さんがまだ食事を食べ終えてないうちに勘定をし出して、Aの店の常連客が次々と消えていく。
　Aはとてもいたたまれない気持ちになって、ついにとある名前を叫んだ。
　
　
　

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