仮説 ページ10
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「昔は、学生のときは、三つとかでも全然違うんすよ。
なんなら一才違うだけでも学年変わってくるし、大人に見える。だからー、Aさんのこともめちゃくちゃ、すんごい別のエリアの人に見えてて」
甘い声で、ゆったり話すドンヒョクくん
暖房と、ブランケットの香りで頭が少しぽーっとする
「うん、まあ特別でしたよ。懐いてるというよりかは」
それまでまっすぐ前を見て運転してたのが
信号につかまってブレーキを踏んだのと同時に目を合わせてくる
黒い目が、外のわずかな光の反射で艶めく
「子供の頃わかんなかったことって、大人んなったらのちのち名前ついてくるでしょ」
「…うん」
「Aさんはやっぱりかわいい、特別だ、って、大人になって会ってわかって。でもそこで彼氏いました、ムカつきました、なんでよ、俺は？って。俺今それだけで動いてます」
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目を合わせるのが少し苦しくて、少しだけ痛んだ柔らかそうな髪に視線を逃す
ドンヒョクくんの伝えてきてるこれは、わたしの知ってる“特別”じゃない気がする
「ドンヒョクくん、……人がチョコ食べてたら食べたくなる？」
「はい。チョコすき」
「たぶんそれと同じだと思う」
ドンヒョクくんが、声にこそ出さないけど、『は？』という顔をしたとき、ちょうど信号が青に変わる
「人のものってよく見えるでしょ」
「結婚してないんならAさんはそいつのモンじゃないでしょ、てか、モノじゃないんでねAさんは」
「ふふふ、ありがとう、そうだね」
「かわい。でね、違うんですよ。俺の場合は、昔から知っててずっとよく見えてた人が、今たまたま相手がいるってだけです。俺はその仮説を否定します」
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あれっそもそも、恋愛感情を向けてるとも明確に言われてないのになんで追及しちゃったんだろう
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作者名：towa
| 作成日時：2024年2月8日 22時
