お墨付き ページ27
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しまった、弟には、シウには言うべきなのか
そんなことがふと考えついたのは夜中の1時
映画を何本か観て、帰りたくなくなっちゃったらしいドンヒョクくんのシャワーの音を聞きながら、ふと浮かんだのだ
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「シャワーいただきまし…た、あれ、寝てる」
「起きてる」
「ほんとだ。こんばんは」
「こんばんは」
ソファに横になって、胸の前で手を組んでるミイラスタイルで目を閉じてたらドンヒョクくんが浴室から出てきた
髪が濡れてぺちゃんこになっててかわいい、ゆるくカールしてるのはパーマなのか、くせっ毛なのか
ミイラのまま目だけを開けてドンヒョクくんに応対する
ぺたぺたと近づいてきたかと思うと、そっと頭の横にしゃがみこむから、うちのシャンプーの香りが漂う
「Aさん、シウには言っていいですか?」
「…たぶんダメ」
「なんでですか?」
「ねえ、てかドンヒョクくん、風邪ひいちゃうからドライヤーしておいで」
「俺いつも自然乾燥っすね」
「じゃあ今日はわたしがやります」
自然乾燥は髪にはよろしくないんだ
確固たる足取りでドライヤーを持ってきて、ドンヒョクくんをソファの前に座らせる
あったかい風と、指をくすぐる柔らかい髪
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ドライヤーを終えると、くるりと向きを変えてわたしの膝の上に両手を置く
あざといなあこの子
「やっぱ気まずいもんですか?」
「うーん気まずいよぉ?」
「シウは応援してくれましたよ?俺ならいいって。お墨付き」
『イェイ』なんて言葉とは真逆の無表情で顔の横でピースを決めている
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付き合ってその日に急遽お泊まりなんて、こんなのも大人になった証拠なのかな
わたしも別にドンヒョクくんにまだ帰ってほしくはなかったし、もう少し話したかったから承諾したけど、こうして急激にことが進むと、飽きられるのもきっと早いのかな、なんて思ってしまう
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作者名:towa | 作成日時:2024年2月8日 22時