すり合わせ ページ26
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「あは、全然目ぇ合わねえ」
あまりに気恥ずかしくて、視線をドンヒョクくんの頬のほくろにやったり、わけもなくカーテンを見たりしてたらクスッと笑ってそう言われた
「ヤならぶん殴って？俺Aさんの嫌なことは絶対したくないの」
ざらっとした独特の声が静かな部屋にぽつりと落ちる
こういうところで照れずに、ちゃんと意思表示できたらよかったのにな
「ドンヒョクくんって…いろいろ考えてるんだね…」
「そりゃあ、もう」
「案外そういうとこあるの、いいと思うよ」
「…へへ〜、Aさぁん、今俺のターンなんで、口説き返すのやめて？」
「あ、ごめん。じゃあ引き続き口説い…あ、ちがう、なんか変なこと言ってる」
かはかは、控えめに笑うドンヒョクくん
ああ、そんな顔されちゃまた触れたくなっちゃうなあ
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「Aさんと俺なら上手くやってけると思うんです」
「うん」
「Aさんがもし、ちょっとでもその気あったら、来てくれませんか、その、俺に」
ちょっと噛みながら言うドンヒョクくんに、思わず笑ってしまう
「うん、じゃあそうしよっか」
「…え、マジ？マジすか？」
近かった距離は、仰け反ったドンヒョクくんによって離れる
逆に離れちゃうことあるんだ
「み、見て、Aさん、手、俺の手ぇぷるぷるしてる」
「体調悪い？」
「んなわけないでしょ？話聞いてた？」
「付き合おうって話でしょ？」
「俺そんな軽い気持ちじゃないですよ？」
よっこいしょ、ってまた、わたしに前のめりに向き直る
その顔はなぜかちょっとムッとしてる
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「知ってるよ」
「じゃ、よかった」
するっと頬を這うドンヒョクくんの柔らかい手
ぷちゅ、っとかわいい音を立てて頬から離れていく仄かな熱
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作者名：towa
| 作成日時：2024年2月8日 22時
