大人になったら ページ25
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ドンヒョクくんの香りと体温が、ちょっと動けば触れ合うところまで来てる
照明があまりないせいか、光のない目
その目がわたしをとらえて離してくれない
進んでもいいのかな、って自分に問いかけるように呟くドンヒョクくん
「綺麗な目だねえ」
黙ってるのに耐えかねて、柔らかい前髪を少し退ける
その目が、手が近づいたことでぴくっと閉じかける
「Aさん？」
「はいはい？」
「俺勘違いしちゃうんだけど」
「…うん」
「Aさんも俺のこと好きなんじゃねって思っちゃうんですけど」
撫でられてる前髪はされるがまま
少し俯いたドンヒョクくんは自身の両手指を絡めたり親指同士をくっけては離して
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「…それはねえ、まだちょっとわかんないんだよね」
手は止まって、俯いたままのドンヒョクくん
前髪を撫でてると、香水のいい香りがまだほんのりする
「だとしたら思わせぶりすぎない…」
「うん、わたしもよくわかってなくて、でも近くても全然嫌じゃないし、髪も撫でたくなるし、もっとデートしてたかった」
「じゃあそれって、」
「なんかね、大人になるとわかんないんだよね、好きとか、もうどんなんだったか」
そこでやっと顔をあげ、目線が合った
彼の膝がすこしこちらに向いた
「別に、俺もうそれだけでいいです」
「いいんだ」
「夢中にさせる自信あるんで」
「あは、オッケー」
「オッケーて」
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わたしもなんかそんな気はしてる
彼に飛び込んでみて大丈夫なら、わたしはそうしたい
至近距離で静かに絡む、そのとろんとした視線
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作者名：towa
| 作成日時：2024年2月8日 22時
