上手い彼 ページ3
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雰囲気作りにテーブルライトだけを灯して、奇跡的に食べたいケーキが被らなかったからお互いの好きなケーキを前にしている
ちなみにシウに向けてのバースデーソングはしっかり歌い、ドンヒョクくんが『俺ら何が悲しくてこんなことしてるんすかね』って真顔で言うから、吹き出した拍子に、1本ずつ立てたロウソクの火を消してしまった
「こういうのなんていうんだっけ、友達が好きなアイドルの誕生日におんなじことやってた」
「あれじゃないすか、本人不在の生誕祭みたいな」
「たぶんそれだ！」
「顎にクリームついてんのやめてくれませんか？」
「え、ついてる？」
はぁ、って呆れたように笑うと、指で『ここ』って、ドンヒョクくん自身の、丸いけど綺麗な顎を指す
たしかにクリームはついてた
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久しぶりの再会とは思えないぐらい、自然なペースで、たまに間は空くけどそれも苦じゃなくて、それはたぶん彼の持つ空気感と、間の使い方がすごく上手いからなんだと思う
「…あの、今彼氏とかいるんすか？」
「いるよん」
「あ、…へえー」
「ドンヒョクくんは？」
「いません。先月別れちゃったんですよぉ」
「あららら。……え、シャンパンいく？」
「うわぁ、いらね〜」
で、たぶん距離感もしっかり掴まれてる
敬語と、力を抜いた話し方の混ぜ方が上手い
頭の後ろに手を回して、くしゃっと髪を掴んで背もたれに寄りかかるドンヒョクくん
「だから目が死んでたのか…」
「あのね、元々なんすよ」
オニキスみたいな黒い目を、少し茶化す意味で、近づいて見つめてみる
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作者名：towa
| 作成日時：2024年2月8日 22時
