今の彼は ページ16
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ドンヒョクくんの言葉は、命中率は高いけどその殺傷力は、わたしが慣れてきたからか小さくなってきている
でも改めて、ノリでも『好きだ』って言われたら、さすがにドスッとくるものがある
｢あ、大きめの犬｣
｢めちゃくちゃ走ってくる｣
｢ね｣
そう、その大きめの犬が、飼い主をタジタジにしながら走ってきて、すれ違う寸前、何かに気を取られたのかわたしの足元に寄ってきて、ビックリと、かわいさで少しよろける
あぶな、と思った時にはするりと腰に手が回って、犬は飼い主さんに引き剥がされて行ってしまった
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｢ごめんなさい、支えただけ｣
わたしがまだ何も言ってないのにそう弁明され、そっと離れてドンヒョクくんのポケットに入る右手
｢犬の勢いすごすぎて。ぶっ倒されるかと思って｣
｢ありがとう かわいかったね｣
｢…Aさん、ご飯食べてる？｣
｢めちゃくちゃ焼肉食べてるとこ見てたよね｣
｢んはは、そうね、見てたけど。すんごいすんなり手が回ったから｣
正直、ドキッとはした
腰を支えられることってなかなかないし
それに、嫌じゃなかったし
100人にそれをされたら、されたくもないって思うこともあるけど、ドンヒョクくんに支えられたのは全然嫌じゃなかった
｢ドンヒョクくん｣
｢はい。告白ですか？｣
｢今日、ありがとうね。ご馳走様でした｣
｢こちらこそありがとうございます。来てくれて、お散歩も付き合ってくれて」
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柔らかそうな髪の毛が、ふんわりと上に舞ったり、目元を覆って影を作ったり
色んな顔があるんだなあ、この子は
と、自動販売機の前まで来て、あかりでより鮮明に見える彼の姿をじっと見つめてしまう
ひらべったくて細い腰と、長い脚
わりとあった胸板に、今頃気付く
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作者名：towa
| 作成日時：2024年2月8日 22時
