○サンクコスト ページ13
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「美味しい？」
「美味しい〜〜」
そして念願の焼肉の日
即レスから、日程が決まるまでもすんごいスムーズで
焼肉に告白されたら絶対そっち選ぶんだろうなって複雑な気持ちにはなりつつ
目の前でこうやって、ニコニコと肉を頬張って、早くもごはんのおかわりを2回してるAさんを見てるとそのへんはわりとどうでもいいかも
「ドンヒョクくん食べてない」
「俺今忙しくて」
「わたしが焼くよそんなの〜」
「ううん、Aさんがうまそ〜に食ってるの見るのに大忙しなの」
頬杖をついて、鉄板を隔てて改めて顔を見ると、
『やめてよ』と言わんばかりに 呆れたような、困ったような笑顔を浮かべる
「あ、ねえ、彼氏とはまだ仲良くやってるんですか？」
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ぴた、っと一瞬動きが止まり、目線は水の入ったグラスへ不自然に移る
キタ、確定演出
「う、うん、まあね」
「ふーん、そっか、俺ね、心配で」
「ご心配ありがとう」
「…別れたくせに」
何かを察したように、開き直ったような顔でまた箸を進める
持ち方も食べ方も綺麗で俺好きなんだよな
「随分と口の軽い弟を持ったなあ〜あーおいし」
「俺もシウと仲良くてよかった。シウからしたら姉ちゃんが別れて浮かれる最悪な友達だから申し訳ないけど」
「どこまでが本気？」
「全部本気」
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頬杖をついたまま言うのも違和感があって、
いい具合に焼けた肉をAさんのお皿に届けながらそう言う
焼けた肉を届けたというサンクコスト効果の相乗効果も狙ってね
「ありがと。次はドンヒョクくんがお食べなさい」
またかわされた
俺の前にあったトングはAさんに取られ、
すでにご飯茶碗がからっぽになったAさんはトングとハサミを手にしてる
「いただきます。お姉さんってわりと頑固ですよね？」
「そうだよ？」
「どうしたらあの頃のガキのドンヒョクのことは忘れてくれんの？」
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今は、中身はどうであれ立派な大人だっていうのに
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作者名：towa
| 作成日時：2024年2月8日 22時
