○もし ページ12
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「姉ちゃんか」
「うん」
「いい趣味してるなと思う」
｢でしょ？｣
｢もしもの話でしょ？｣
｢…うん、もし、もしの話です｣
なはは、と笑うシウ
一瞬浮かれて『でしょ』なんて言ってしまった
｢ほんとだろうがもしもの話だろうが、別にそこ俺気にしないし。ドンヒョクに気ぃ使われててあとで知る方が悲しいけど｣
｢…うん｣
｢ほんとなら嬉しいかなぁ…いや複雑なとこもあるよ？！そういう話とかはめちゃ気まずいから言うなよ！｣
｢うん｣
｢で、ガチなの？｣
｢…わりと。めちゃくちゃかわされるけど｣
｢まあ、大丈夫。ドンヒョク良い奴だし｣
｢そんな良い奴じゃないけど、ありがと｣
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シウはシスコンとまではいかないけど、昔からお姉さんであるAさんのことはわりと慕ってたし、身内だからって卑下するようなことは絶対言わないし、帰りはよくコンビニまでお供させられた
だからそう言ってもらえてちょっとだけ気が楽になったし、コソコソしなくていいんだって思えた
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「送ってくれてありがとな〜がんばれよ〜」
「がんばる。あ、あと。シウとこうやって遊ぶのとAさんのことは全く別だから。シウと仲良くしたいのは昔からずっとそうだからね。姉ちゃんのことで利用するとかは今後も絶対ないから」
「そこ別に疑ってないけど、ありがと！」
シートベルトを外しながら、『わりと気にしいだよな〜』ってのほほんと笑ってる
やっとのことで降りたシウは、ドアを閉めると
『あっ』と口を開け、コンコンと窓をつつく
開けないってことは忘れ物とかじゃないんだな、と考えつつ、ボタンを押して助手席側の窓を開ける
「なに？」
「ガチならいいんだけど。もう全然のびのびやってくれていいけど、ヤなことはしないでね。泣かせたりとかしたら出禁だから、出禁」
妙に透き通ったシウの薄茶色の目
珍しく断定的な話し方、また語気強めに言い終わると、
いつも通りニッと子供っぽく笑って、手を振って行った
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作者名：towa
| 作成日時：2024年2月8日 22時
