ケーキ ページ1
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「あれ、ドンヒョクくんだ。こんばんは」
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寒空の下、ぽかんと口をまるくあけたままの男の子
そのまま表情は変わらず、白い息だけがほわっと広がって直ぐに消えた
「ん？ドンヒョクくんだよね？」
「え」
「違う？」
「え、え！お姉さん、だ」
「そうですよ〜、久しぶり〜」
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ドンヒョクくんは、弟のシウとずっと仲良くしてくれてる子。シウの代の高校の卒業アルバムでも、一緒に写ってるものが多かった
そして今日はシウの誕生日だから、わざわざこうして訪ねてくれたのだ。
…のはずだけど、目をまんまるくして、ずっと固まってる彼
「な、なぜ？」
「ちょっと帰ってきてるの」
「あ、そう、すか」
「なんでちょっとカタコトなの？」
「いや、…緊張して」
友達の家族って、なんだかへんに緊張しちゃうよね
昔のちんまりとした、にぎやかだけどシャイな姿が重なる
寒さで少し肩をすくめる彼の片手には、白い持ち手つきのボックス
「あ、でもごめんね、今日シウ帰ってきてないんだわ。たぶんそれ渡しに来てくれたんだよね？」
「えーー！いないってことあります！？誕生日ですよね？」
「彼女と遊びに行ってんじゃない？普段もあんまり帰ってこないよー」
「おばさんも寂しがってるんじゃないですか？」
「あ、お母さん？お母さん旅行行ってるよーおばあちゃんたちと」
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ちょっと上を向いてカハカハ笑うドンヒョクくん
「まあ大人ってそうすよね。てか、お姉さんもうちに1人なら、ちゃんとモニターで相手確認してから出てください。危ないから」
「え、そうか、心配ありがとう！
で、それなあに？」
「ケーキです。2個買っちゃった」
「わあ、あの子ケーキ大好きだよ。一緒に食べようとしてたの？」
「ううん、2個あれば苦手なのあってもどっちかは食べられるかなって」
「ええ、優しい〜ちょっとドンヒョクくん優しい〜へぇ〜」
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学生時代、ドンヒョクくん含む弟の友達がうちに遊びにきてて、みんな話しやすい子たちだったからたまに喋ってたりはしたけど、いざ2人で、となるとどう接すればいいかわからなくなる
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作者名：towa
| 作成日時：2024年2月8日 22時
