【2j3j】だって貴方 -2-【knmc】

学校▽ ページ29

「さ、ここが僕の学校ですよ。」

「が、っこう…」



僕の学校の位置は知ってはいるらしいが、実際に来たことが無かったり、僕のお兄ちゃんと話したことがないことを踏まえて僕の出発時間に合わせて家を出た。

入場するまでの空き時間でお兄ちゃんによる学校の周り見学ツアーを開催するらしい。

うん。多分だけどこの二人は仲良くなる。



そんなことを考えながら学校を見上げ、昔の彼女は病弱なのもあり、ずっととある“施設”で過ごしていたのを思い出した。

そのくせ頭は良く、なんでだろうと不思議に思っていたところ、夜中にこっそり抜け出して捨てられている本の中から使えそうな本を持って帰ってきては夜遅くまで勉強していた姿を見かけた。

で、さすがに夜中に抜け出すのは危ないし気づいちゃったからには放っておくことも出来ないという事で、何度かばれないように後を追っていたのだが、ある日、



『ん〜…これはちょっと難しいかなぁ…いや、持っておいて損は…』

ガタッ！

『え、なに？！』

『ちょ、じゃれつくな！離れろ猫！…って、あ』

『は？！お兄ちゃん？！何してんの？！』

『えぇっと…』




という事が起こった。

いやぁ気づかれずに後をつけるのは前から得意だったんですけどね、猫が居なかったらバレませんでしたね。ちなみにストーカー行為はしたことがありません。剣持刀也です。


話を戻して、彼女は一人で勉強してきた。夜中に勉強をしていたのはきっと昼にやることが多いというのもあるが、学校に行きたいという事がバレて優しい施設の人たちが学費を払おうとすることを阻止するためだったのだろう。

そんな彼女の探求心を手助けするべく、城下町に連れ出したこともあったっけ。

あの時代の学費は高かったからな…そのうえ彼女にとっては長らく一緒の場所にいるとはいえ一応他人なわけだからなおのこと。


「今日は参加…は難しいかもしれませんが、きっと楽しい運動会になると思いますので。」

「うん。ありがとう。刀也くん。」

「…まだよくないですか？兄はまだ来てないですし。てかそれ以前に違和感すごくて鳥肌が…」

「おうどつき回したろかい」

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