❅ ページ12
「はぁ、やっぱり病室って退屈！まぁ、外寒かったから仕方ないけど！」
「っふｗAは元気だねぇ」
「そりゃね！もうずいぶん体力は落ちてるけど！」
彼女は明るく言うけれど、運動も外に出ることも出来ない、というのがふんわり伝わってくる。
そう思うとやっぱり健康な身としては、心苦しいところだ。
健康体になったら、何かやりたいことはあるのかな。
たとえ苦しむことになっても、成し遂げたい何かが、Aにはあるのだろうか。
「、、治ったらさ、」
「うん？」
「治ったら、これだけは絶対にやりたい！っていうの、ある？」
「え〜？ん〜…なんだろ…」
少し考えてAは言った。
「お兄ちゃんのライブ見に行くことかな！」
「え」
「えぇ？」
「お、俺のライブ？」
「うん。俺のライブ。まぁ俺のっていうかレイドロの？」
「…それが、絶対やりたいこと？」
「うん！絶対行きたい！！」
まさかやりたいことが俺に関してのことだとは思わなかったけど、結構マジで嬉しい。
でも、それと同時によぎるのは、「俺のために無理をさせるかもしれない」という考え。
俺たちのライブを見に行くために、死ぬリスクまで冒させるのは嫌だし、かといって
Aの願いをかなえられないのも嫌だ。
だからこそ、今、彼女に聞かなきゃ。
「．．．A」
「ん？」
「もしさ、病気を治せるかもしれない薬が見つかったとして、それがどれだけ苦しくても、
どれだけ死ぬ確率が高くても、俺らのライブ見たいな、って思う？」
少し意地悪な質問だっただろうか。
だってそんなの、Aだったらまず間違いなくYESと答える。
俺は少し怯えながら、彼女の返答を待った。
すると、Aが俺の手を優しく握った。
「、、え」
「ステージに立つ明那が見れるなら、別に苦しいのも死ぬのも、怖くないかな」
「、、死んじゃったら、意味ないじゃん」
「確かにｗま、私は死にませんけどね！お兄ちゃんのライブ見るもん！」
「てか、そんな薬見つかったんなら早く言ってよね！どーせ明那のことだから、余計なこと
考えてたんでしょうけど！」
「バレてましたか…」
「あったりまえよ！」
握られた小さな手を、俺もそっと握り返す。
俺よりも遥かに冷たい小さな手は、間違いなく「生きる」といっていた。
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Loaro(プロフ) - すず。さん» ありがとうございます！はげみになります！！！ (5月9日 23時) (
レス) id: 7d4f6a96b8 (このIDを非表示/違反報告)
すず。(プロフ) - とても好きな作品です！これからも更新頑張ってください！ (2022年12月29日 23時) (レス) id: f9ac5e50c0 (このIDを非表示/違反報告)
Loaro(プロフ) - 名前設定なしの場合、主人公の名前は 夏夢（なつめ）と読みます (2022年7月1日 9時) (レス) id: 7d5877d4f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Loaro | 作成日時：2022年6月29日 17時
