目覚めの話 ページ7
「…A！？ A！！ おい、平気か！ 」
目が覚めたのが白みがかった部屋で、傍で新一の声が聞こえたので、作戦が上手くいって今は病院にいるのか。と当たりを見渡すが、病院とは思えないほど圧倒的に狭くて誘拐されているのかも。と思索した。
『…上手くいかなかったか』
「いいや、事務所だよ。コンビニの。誰も怪我人は居ない。A以外」
新一から話を聞くに、俺は通常の鼻血ではありえないほどに出血していたらしく、一気に血が抜けて赤血球の回復が追いつかず一時的に血液に血漿が多く含まれることで起きる、血が黄色くなる現象によって俺は大量出血と酸欠で倒れていたらしい。今は簡易で輸血して体調が安定しているが、病院に連れていこうとした際、朦朧とした意識の俺が「病院には行くな」と叫んだらしく、今はコンビニの事務所でただ回復を待っていた。しかし有希子さんにも兄さんにも連絡は行ってしまうようで『これなら初めから派手に犯人殴った方が早かったなー』と笑うと新一は俺の頭をぶった。
「そういえばおめー、上着どうしたんだ？ 屋根裏部屋探したけど無かったぞ」
『高いアイス二つで許してやるよ』
上着は兄さんからのお下がりだった。兄さんも沢山その服を着ていたようで、袖口が少し破れたりしているところがお気に入りだったが、新一が逃げた時にライフルで背中を狙われているのを見て、咄嗟に男の頭上の天井蓋を外し上着をライフルの男に被せたのだ。おかげでライフルの男は発砲をしなかったが、上着を回収することは叶わなかった。__その前に大量に鼻血を着けていたから結局捨てざるを得なかったのだが…。それを新一に言うのが照れくさくて、急にアイスを強請って困惑する新一に『まあ、ガルガルくん五本で許してやらんこともないぜ』と付け足した。
「____でも、何したらそんな急にありえないほど鼻血出んだよ」
『…やべー病気だったらどうしよ。まだ死にたくないんだけどなあ』
ゆっくりと立ち上がると目の前がチカチカと光って視界が白くなる。よろけたらしく、新一が俺を掴んでいた。
「おい、まだ寝てろよ…出血多量で貧血になってんだから…」
『いや、ダメだ。今七時半だろ。やばいんだ。今日の九時からのバラエティ、俺の好きなアイドルが出るからもう帰らなきゃ』
新一は呆れて俺を寝かせた。コンビニの中は静かで数人の警察官が出入りしている。
『じゃ、先に帰って録画しといてくれよ。頼んだぜ』
肩を叩いてやれば新一はため息をついた。
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ちゅんこ(プロフ) - ノルゼリイさん» ヤッター！めちゃくちゃうれしいです！コメントありがとうございます！好きです！励みになります！ (2021年4月30日 12時) (
レス) id: 63782632c9 (このIDを非表示/違反報告)
ノルゼリイ(プロフ) - 何日間かかけて前作から読破してしまいました！ とても面白いです。あ、主人公が、また黒の組織にと目をつぶりそうになってしまった時の救世主の優作さん、、尊い。 これからも物語楽しみにしてます。 (2021年4月29日 16時) (レス) id: 8f5d447aaf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちゅんこ | 作成日時：2021年4月24日 20時
