夢の狭間 ページ6
コンビニ事務所の天井蓋の隙間から小さな液体の玉が落ちた。やはりそれは嫌な色、黄色の混じった朱殷で他の客が全員事務所から出て伊達班長に「降谷、行かないのか」と催促されようともその天井蓋から目を離せず、嫌な予感が喉元に迫り上がる。パイプ椅子を天井蓋の下に運び、靴を脱いで天井蓋のツマミに手を伸ばす。近くで見た天井蓋にはやはり血が滲んでいて、この上で誰かが怪我をしていることは明白だった。心臓が早鐘をうち、耳元に大きく鼓音がこびり付く。
「ねえ、お兄さん、さっきからこの人が呼んでるけど…」
フードを被った男の子が僕の足の裾を引っぱってようやく景が困った顔で見つめるのに気がついた。
「あ、あぁ、悪い。どうした？ 」
「…いや、そろそろ門限だよ。帰らないと」
「先行っててくれないか。屋根裏に用があるんだ…きっとワケを話せば教官も分かってくれるはずだから」
「じゃあオレが警察官の人に屋根裏見てって言っておきます。アンタ達警察学校の人でしょ？ 門限破れば連帯責任とかあるって聞いたことあるけど」
少年は無愛想にこちらに視線すら合わせずに呟いた。
反論しようと口を開きかけるが、景がそれを静止する。
「なにかあるなら警察もいるし平気だよ…。今は帰ろう」
渋々パイプ椅子を元に戻して少年に「面倒事を押し付けてしまったな」と謝ると既に萩原や松田、伊達班長が外に出ているのが見えて走って追いついた。
「…あぁ、あの子だ。警察呼んだの。フード被ってたし、初めあった時も僕は顔見てなかったからすぐにわかんなかったけれど」
警察学校への道のりを小走りで向かっていた時、景光がそう呟いた。
「あー。あのガキ、なんというか…似てなかったか？ 降谷の弟に」
「陣平ちゃん目ぇ腐った？ もっと、なんというか…ほら、零の前だと言いづらいけど」
萩原が俺を気遣って濁した。伊達班長が萩原に「それ以上言うな」と頭をはたくのをまるでスクリーンの中の出来事のように見ていた。
「…伊達班長、子供は二人居たって」
「ああ。多分一人が諸伏と萩原と松田が見た子供だと思う。フード付きの服だったし…」
「もう一人、もう一人の容姿は！？ 」
伊達班長の襟元をつかみかかって食うように叫んだ。切羽詰まって体裁なども気にできずにただただ腹の当たりがずっと落下するような感覚が襲う。
「深緑の大きめのコート羽織ってたなあ。気温が高くなってきたのにどうしてって思ってたが…降谷？ 」
「………僕のだよ…そのコート…」
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ちゅんこ(プロフ) - ノルゼリイさん» ヤッター！めちゃくちゃうれしいです！コメントありがとうございます！好きです！励みになります！ (2021年4月30日 12時) (
レス) id: 63782632c9 (このIDを非表示/違反報告)
ノルゼリイ(プロフ) - 何日間かかけて前作から読破してしまいました！ とても面白いです。あ、主人公が、また黒の組織にと目をつぶりそうになってしまった時の救世主の優作さん、、尊い。 これからも物語楽しみにしてます。 (2021年4月29日 16時) (レス) id: 8f5d447aaf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちゅんこ | 作成日時：2021年4月24日 20時
