阿遮一睨 ページ18
とまあ、Aはそんなこんなの背景を知らないので、ここで降谷ちゃんが働いていることすら知らずに呑気に氷の入った水を舌で転がしていたが、
__巻き込んだらこの命に代えてでも萩原を殺してやる。
そんな声が聞こえるほどに、降谷ちゃんはキッチンからホールのオレたちを睨んでいた。
何も知らないAは『警察だろ！？ 事件解決しないと！ 』とオレに詰め寄る。正直、零は目立つ。もしかするとこれから来る警察の人間の中に警察学校の次期首席と名高い男が金髪褐色青眼のオレを睨むアルバイターだと気づく刑事もいるかもしれない。そうなれば降谷ちゃんのクビは免れないので事情聴取の前に犯人が自首してくれるのが最良だが…
オレを睨む降谷ちゃんに目を向けた後、降谷ちゃん程の覇気はない、ただ視線を向けるだけに見えてきたAの顔を見た。
「__…正直、板挟みなんだわ……。Aを危険に晒すと降谷ちゃんが超怒ってくんの」
『じゃあ、内緒にしてる！ 』
「いや、内緒にしようがアイツは掴むよ…Aの尻尾をな」
『…でも…おれは…警察の兄さんを尊敬してるから、兄さんの正義に背きたくない…兄さんなら、きっと事件を解決する』
言われてんぞ降谷ちゃん。そう心の中で背後ろに語りかける。この遠さならば聞こえないだろうが、今の話を聞けたなら降谷ちゃんは更に無茶してしまうだろうなあと心中で独り言つ。
「…良いか？ Aは犯人を見つけたら絶対に無茶する。これはもう、オレたちが学んだことだ。前に伊達と遊んだ2週間前だって事件に巻き込まれて怪我したろ。降谷ちゃんから信頼されて預かっている身としてしては、お前が怪我するとオレたちの友情にヒビが入るんだよ」
脅しのようになってしまって気まずく、目をそらす。
『…でも』
そう言いかけて、Aは袖口に着いた何かを潰して捨てた。己の身体を手でパンパンと払っていくと、オレの耳元に近づいた。
『兄さんがこの店でバイトしてるだろ』
気がついていたのか。という驚きと、咄嗟に今袖口に着いていたものが盗聴器だったと気がついてこの子供の神経の図太さに心胆寒かしんだ。
「…全く…初めて会った時はそんな怖いガキじゃなかったろ？ 」
『大人の階段登ったんだよ』
「そのゴミを付けたネズミは誰なんだ」
『兄さん』
「兄弟揃って恐ろしいヤツらだなあ」
物陰からオレたちを眺める降谷ちゃんを見つめる。心の中で「翼を手にしたお前の弟を鳥籠の中に抑えるのは酷だと思うぜ」と呟いた。
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ちゅんこ(プロフ) - ノルゼリイさん» ヤッター！めちゃくちゃうれしいです！コメントありがとうございます！好きです！励みになります！ (2021年4月30日 12時) (
レス) id: 63782632c9 (このIDを非表示/違反報告)
ノルゼリイ(プロフ) - 何日間かかけて前作から読破してしまいました！ とても面白いです。あ、主人公が、また黒の組織にと目をつぶりそうになってしまった時の救世主の優作さん、、尊い。 これからも物語楽しみにしてます。 (2021年4月29日 16時) (レス) id: 8f5d447aaf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちゅんこ | 作成日時：2021年4月24日 20時
