桜下正義 ページ17
「つまり、まあ、殺じ……あぁマッポさんが来たみたいだ。事情聴取はやいとこ済ませてもらって早く出よーぜ」
『ええ！？ そんな含みのある言い方しといて、普通に帰んのかよ！ 』
「帰らないけど…。A、前からトロピカルランド行きたいって言ってたじゃんか」
『…えっ！ トロピカルランド、行くのか…！ 』
「まーな。研二兄ちゃんが連れてってやる！ 」
『…じゃなくて！ 』
Aはオレの咄嗟のはぐらかしに乗るほど馬鹿で無くなったらしい。降谷ちゃんに似つかない顔つきがオレを睨んだところで何も恐ろしくはなかった。
それよりも、背中に氷のように冷たい視線が突き刺さる。早く帰れと言わんばかりの圧に背中にだけ冷や汗が湧き出るような感覚だった。
______話は数ヶ月前に遡る。
「Aがあまりにも無茶をしすぎるが、それを咎めることが出来ない」「そもそも、Aの養育費を警察学校の給料で賄える気がしない」と降谷ちゃんが嘆いていたのが始まりだった。話を聞いた四人のうちの誰かが「一気に片付く方法がある」と口を開く。果たして誰の提案だったか「それならば、オレたちの休みの時にオレたちでAを見張ればいい」と降谷ちゃんに詰め寄ったのだ。
降谷ちゃんは「そこまでさせるのは」と気が引けていたが、鬼塚教場の桜の代紋を背負ったオレたちの正義の心に火がついた。
降谷ちゃんが土日のどちらかにバイトのシフトを入れて、その間オレたちが託児所のようにAを預かる。Aの預かり先を信頼していない訳ではない。Aの暴走癖を信頼していないのだ。
…降谷ちゃんは「Aの預かり先は僕達兄弟に尽くしてくれるからこそ、僕達のことは僕達で片をつけたい」と強い意志を持っていたが、やはり警察学校の降谷ちゃんと小学生のAちゃんだけでやっていくには無理がありすぎる。だからオレたちが名乗りを上げた。それに、警察学校は公務員として認定されているので、本来アルバイトがバレてしまえば厳しい罰則が待っているが、オレたちがグルになってしまえば簡単に隠蔽できる。降谷ちゃんが「本当にありがとう」と綺麗に四十五度で頭を下げたのは、もう遠い記憶だった。
そして、降谷ちゃんのバイトが入る土日の休みはオレたちがかわりばんこでAの面倒を見ることになる。待ち合わせは降谷ちゃんのアルバイト先であるカフェ……そう、今いるこのカフェこそが降谷ちゃんの勤務先なのだ。
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ちゅんこ(プロフ) - ノルゼリイさん» ヤッター！めちゃくちゃうれしいです！コメントありがとうございます！好きです！励みになります！ (2021年4月30日 12時) (
レス) id: 63782632c9 (このIDを非表示/違反報告)
ノルゼリイ(プロフ) - 何日間かかけて前作から読破してしまいました！ とても面白いです。あ、主人公が、また黒の組織にと目をつぶりそうになってしまった時の救世主の優作さん、、尊い。 これからも物語楽しみにしてます。 (2021年4月29日 16時) (レス) id: 8f5d447aaf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちゅんこ | 作成日時：2021年4月24日 20時
