ダブる話 ページ2
「おめーに振り回されるのは今更って感じだし…ま、この際どこまでも着いてってやるよ」
新一は意思を固めたようで「どうして急に助けるなんて」と問いかけた。俺は急に照れくさくなって、顔に熱が集まるのを感じながら目を逸らす。
血の繋がりというのだろうか。それともただ目が見慣れてしまっただけか。それでも一瞬の小さな隙間から、そのキラキラのアイボリーしか見えなくとも驚く程無意識的に『兄さんだ』と直感したことが恥ずかしくなったのだ。
『…兄さんが、いる』
「警察学校にいってるって、あの？ 」
『まーな。…あったことなかったっけ。新一は』
「ないな。Aから、かっこよくて尊敬できてって話は散々聞かされたけど」
新一は揶揄う調子で俺をいじる。さらに恥ずかしくなって暗がりの新一を叩いた。
「どうすんだよ。助けるっつったって無茶したら俺の父さんと母さんが怒るぞ」
『無茶はしない。それから兄さんにも会わない。兄さんは不器用で俺の事を怒れないから、俺がこの場にいることを知ったらきっと心痛めちまうし…』
「じゃーどうすんだ」
新一はあくまで俺の策に乗る気のようだ。新一ならばこんな状況を打破する閃を浮かべていそうなものだが、携帯の心許ないライトに照らされる彼の顔はふんぞり返って俺に全てを委ねていた。期待に応えてやるか。とまだ色褪せない記憶を辿る。
このコンビニ強盗の話、何かデジャブを感じると思って先程から思索を巡らせていたが、ようやく思い出した。たしか漫画にもこんな話があったのだ…。兄さんがダテとコンビニに行くとATMの金銭補充を狙う強盗に襲われて________……………
「…A？ おめー…鼻血が」
人中に生暖かい液体が通じて唇の上に乗るのを感じる。それを気にする間もなく冷や汗が全身から吹き出す。
「A？どうした、A！ 」
新一が俺の肩を掴む。天地が分からなくなって座り込んだ。脳を揺さぶられる感覚に頭が茹だる。
おかしい。
___兄さんが配電盤を使い、外の看板をモールス信号で点滅させ、彼の警察学校の同期に助けを求める結末と、配電盤を弄っていることがバレて兄さんが撃たれて…だめだ、そこから先が思い出せない。ドクドクと溢れる鼻血が俺の思考を妨げる。ふと額に冷たい感覚がして、汗が落ち着いた。
「A、凄ぇ熱だ。オレたちだけでも逃げて警察を呼んだ方が…」
新一が俺の額に手を当てて心配そうに呟いた。
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ちゅんこ(プロフ) - ノルゼリイさん» ヤッター！めちゃくちゃうれしいです！コメントありがとうございます！好きです！励みになります！ (2021年4月30日 12時) (
レス) id: 63782632c9 (このIDを非表示/違反報告)
ノルゼリイ(プロフ) - 何日間かかけて前作から読破してしまいました！ とても面白いです。あ、主人公が、また黒の組織にと目をつぶりそうになってしまった時の救世主の優作さん、、尊い。 これからも物語楽しみにしてます。 (2021年4月29日 16時) (レス) id: 8f5d447aaf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちゅんこ | 作成日時：2021年4月24日 20時
