探偵の話 ページ11
「…工藤さんが犯人だとはとても信じられないが、状況的に見て……。任意ですが、署にご同行願います」
「…仕方ない。私は私が犯人でないと証明できないですしね…」
『ちょっとまった〜〜〜〜!!!!!!!!!』
「っおい!もっとホームズみてーに落ち着いて…」
『あぁ?俺はヤイバーみてーな方が好きなんだよ』
「…なんだ君たち…!?どこから入った…!!」
しばらく凍ったように固まっていた警察官も俺たちのやり取りを見て正気を戻して動き出す。
『ま、俺らは今から冤罪で捕まろーとしている人間を救い出すスーパーヒーロー…』
「…じゃなくて!間違った警察の推理にほくそ笑む犯人を白日のもとにさらしにきた探偵です」
よくもそんなくっせ〜セリフ吐けるな…と俺は感心する。新一は満足そうに鼻を鳴らした。
「おい…入口にいた瀬名はどうした…。なんで子供を通したんだ」
身体の大きな刑事は俺と新一を軽々掴んでつまみ出そうとする。それを優作さんが制した。
「まあまあ……私が言うのもなんですが、この子達は案外、真実への一本道を何者にも惑わされずに辿り着いたのかも…話だけでも聞いてみませんか?」
「そうはいってもねえ…」
刑事が俺と新一の顔を見て渋る。
「…刑事のオッサン…今日パチンコに張り込みましたね?」
新一は口を開く。優作さんと新一以外のその場にいた人間はぽかんと口を開いて新一を見た。
「なっ…」
「僕がそう思ったのには3つ理由があります。一つ、あなたはさっき、部下がタバコを吸おうとしたのを見て「身体に悪い」と怒ってらっしゃった。かなりの嫌煙家なのでしょう。しかし、あなたの身体…というよりスーツからタバコの匂いがします。これは、大量にタバコを吸う人がいる場所に居ざるを得なかった証拠…大量にタバコを吸う人がいる場所なんて限られてくるし…二つ目の理由として、ドアノブを回す時、パチンコをする人ならついつい、鍵と掌を平行に回そうとしますがあなたは普通に回して開いた。上記のことからあなたがパチンコに潜入して張り込んでいたと思ったんです…三つ目の理由としても、極めつけに織り込んだズボンの裾にパチンコ玉がひとつ入っていますしね」
新一はそれを言い終えると満足気にしたり顔する。刑事は、一瞬驚いた顔して俺たちを地面に下ろす。そして屈んで言った。
「悪いな…君たちを見くびっていたようだ」
『ったく。新一は将来の名探偵なんだから邪険にしたら出世に響くぜ』
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作者名:ちゅんこ | 作成日時:2021年4月2日 22時