男装パンダは恋を進めたい【沖田総悟】4

196、接し方（別視点） ページ49

(Aを憎んでる奴が心を壊そうとしてる……？っざけんなよ……)

せっかく、ここまで感情豊かになったというのにそれを壊されてなどたまるか。
そう総悟は思いながら、Aの頭をそっと撫でた。
疲れ切っているのだろう。
そんなことをしても身動ぎ一つしないAの寝息を聞きながら、必死に雪掻きをしている加藤の後ろ姿を見て頬杖を付く。

「あのじーさんの言ってた陰湿な糸って、副隊長を狙ってる天人の事ッスかね」
「どうだろうなァ。ただあの天人がしばらくAに対して何もしてこねェのは疑問には思ってはいるんですがねェ……」

Aの仲間である赤が狙われた以降、特に音沙汰のないそれらに総悟は不安感を感じているのは間違いなかった。
しかし相手が何をしたいのかも、どんな奴なのかも不明。
本部が情報を探っているとは片栗虎が言ってはいたが、総悟たちのもとに情報は一切来ていない。

ほとんど情報がない状況下の中で先ほどの峰苑の言葉は不安を煽った。

「そうなんスよね。結構チャンスあったのに追撃しに一切来てないのが不安ッス」
「Aが受けてる毒も気になるしなァ……。本人は特に何も問題ないっつってたが……」
「副隊長はちょっと問題あっても問題ないって言う、タイプッスから。……雪多すぎっ」
「頑張れカトー」
「ちょっとは手伝ってくれたりしないッスか？！」
「声がでけェ。Aがそれで起きたらお前どうなるか分かってんだろうなァ」
「すみませんッス。うう、掻いても掻いても次々雪がくるッス……」

ベソをかきながら雪かきを続ける加藤の後ろ姿を見るのも飽きて、総悟はAに視線を移した。

「……ん……、く、ろ……」
「……黒？」

何か夢を見始めたのだろう。
寝言を言い始めたAは目元をぎゅうと硬く瞑り体を丸め込む。
あまり良い夢じゃなさそうなその光景に、総悟の手が思わずのびた。

頭をゆっくりと撫でていると、段々表情が和らぎまた穏やかな寝息が聞こえてくる。

(意外と頭撫でられんの好きなのかもしれねェな……。今度起きてる時にやってみるか)





穏やかな顔をしてAを撫でている総悟をちらりと見て、加藤はまた目の前の雪に目を合わせた。

(……前から思ってたッスけど…、隊長って副隊長に対して女性を相手にしてるような素振りをするッスよねー。確かに笑うと女性的ではあるッスけど)

そんな事より手伝ってほしい。
切実にそう思いながら加藤はまた手を動かし始めた。

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