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191、老人の事情(別視点) ページ44

「それで、決着が付いたって事ですかィ」
「そういう事じゃ。それで撤収作業を進めていたら監視員から能礼の行方がわからなくなったと連絡があってな。そうこうしているうちにこの雪じゃ」

そう言って峰苑は大袈裟にため息をつくとまるで頭が痛いというようにこめかみをもんだ。

「今、能礼の居場所とこの雪をどうにかするために監視員が動いておる」
「監視員っていうのは糸を見る力があるッスか?」
「ああ、もちろんだ。じゃないとあの特殊な空間に入れないからの」

特殊な空間というのはあの路地裏のような場所のことだろう。
銀時が神隠し、と揶揄したあの空間。

「結局あれなんだったッスか?」
「説明が難しいが……あれは簡単に言えばわしらの精神の中じゃ。そっちに引っ張らないと糸をよく見ることが難しいのじゃよ」

この状態だと糸は小さくてあまり詳しく見ることが出来ないのだと、そう言って峰苑はちらりと窓の方を見た。

「この雪はその婆さんがやってるっつったな。何か関係あるのかよ」
「ああ、それは簡単なことじゃ。人は寒すぎたり暑すぎたりすると意識が朦朧とするじゃろ?そうするとわしらのあの空間に引っ張りやすくなるんじゃよ」
「え。じゃあ副隊長を呼ぶためだけにこの雪降らせてるッスか?」
「しかし能礼にはこんな大雪を降らせるような力はなかったはずじゃ。何か別の組織が介入しているとしか……」

その峰苑の言葉に息を吐いて、総悟はAの体を自分へと寄せた。
(……部屋の中は暖かいからコートは脱がしたほうがいいか)
一枚羽織っているコートを脱がして、Aの体を抱き寄せるがその冷たさに総悟の瞳が細まる。

「……おいジジイ。Aの体が冷てェ」
「今引き寄せてるから、ちょっと待ってなさい。温めて上げると良いじゃろう」
「引き寄せって…、何をッスか」
「この子の意識を体の元へ呼び寄せてるんじゃ。大丈夫、じきに意識を戻す」

そう言った瞬間、Aの体が急に咳き込み始めた。

「A?!」

ひどく咳き込んだあと、吐き出した赤に総悟の瞳が小さくなる。

「いかん!!あやつ無理矢理糸を切りおった!!!一気に引き戻す!」

あんまり無理矢理はまずいんじゃがのうと言いながら、老人はAの額に手を当てた。
その瞬間、咳き込んでいたAは更にその酷さを増して総悟は必死にAに呼びかける。

192、精神の帰還(別視点)→←190、老人の事情(別視点)



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からし(プロフ) - るいさん» コメント有り難う御座います!好きと言ってもらえてとても嬉しいです^ - ^ これからも更新頑張ります! (2020年5月23日 21時) (レス) id: 926dbf1062 (このIDを非表示/違反報告)
るい(プロフ) - うわぁぁめっちゃ好きです。めっちゃドキドキします。これからも更新頑張ってください! (2020年5月23日 20時) (レス) id: 7170045398 (このIDを非表示/違反報告)
からし(プロフ) - ゆに。さん» コメント有り難う御座います!夢主は作者の好みが詰め込まれているので可愛いと思って頂けたならとても嬉しいです!またお暇なときにでも見に来てくださいね^ - ^ (2020年5月20日 7時) (レス) id: 926dbf1062 (このIDを非表示/違反報告)
ゆに。(プロフ) - たまたまこの作品を見つけたんですけど、ものすんごく面白いです。めちゃくちゃ面白いです。夢主ちゃんも可愛いし続きが凄く気になります!!頑張ってください!!! (2020年5月20日 0時) (レス) id: 9d3542e5d1 (このIDを非表示/違反報告)
からし(プロフ) - 猫とやぎさん» コメントいつもありがとうございます!作者も早くくっつけたいです!更新頑張りますね^ - ^ (2020年5月19日 22時) (レス) id: 926dbf1062 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:からし | 作成日時:2020年5月18日 16時

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