190、老人の事情(別視点) ページ43
能礼はその言葉に反感の意を示した。
順調に進めば、能礼が次の補佐官であるはずだったのだ。
だから能礼はそれが気に食わなかったのだが、峰苑の『自信がないんじゃろ?プププ』という煽り文句に激情してそれを受けることとなる。
ルールは簡単だった。
糸を使って人を幸せにできた数が多い方を次の補佐官と認めること。
監視官が一緒についていくので、逐一行動を監視されること。
他人の糸を奪うことを禁ずること。
「ちょっと待ってくださいッス」
「ん?なんじゃね」
「糸っていうのはその人の人生そのもの、って言いましたッスよね?奪うってどうするんスか」
「うーむ、そうじゃなあ。糸はその人の人生を表している。太さや長さも様々でそれが巻きついてその人を形成してるわけじゃな。
そして、糸の中にはものすごく強い力を持つ物が存在するんじゃ。
それを奪うと、わしらの力はより強大となり強くなることが出来るのじゃが……、糸を奪うということはその人の人生の一部を無理矢理奪うということじゃ」
「……おい、ちょっと待て」
「勘付いてしまったかの?そうじゃよ。能礼はそのルールを破って、この子の糸を奪おうとしているんじゃ」
その言葉に、総悟と加藤は息を飲んだ。
「それじゃ今副隊長危険な状態ってことじゃないッスか?!」
「ふざけんな!さっさとAを返しやがれ!」
「落ち着きなさい。まだ間に合うからこうして話をしとるんじゃ。
この子の精神力は強靭じゃ。特にお前さんが関わらなければな」
「……俺?」
「この子の弱みはお前さんぐらいじゃて。だからお主が気をしっかり持って、この子を支えてあげれば何も心配はいらない」
「………んなこと言われなくてもわかってまさァ」
峰苑は話を続けた。
今代の王は非常に心根の優しい者なのだという。
しかし、次の補佐官である予定の能礼は非常に気性の荒い人物であった。
人の糸を奪う事を当たり前とし、糸を見、操る事のできる自分を他人より偉いと思っている節があった。
「だから今回の計画が執行されたんじゃ」
簡単に言えば出来レース。
つまりは何をどう頑張っても能礼は補佐官になることは出来ない。
そう言って朗らかに笑った峰苑に加藤はえええ、と声をこぼした。
「それずるい気もするッス」
「何をいうか。わしはちゃんと勝ったぞ?万が一わしが負けても大丈夫なように監視員がいたというだけであってな」
それがずるいのだと加藤はまたため息をこぼした。
191、老人の事情(別視点)→←189、老人の事情(別視点)
194人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
からし(プロフ) - るいさん» コメント有り難う御座います!好きと言ってもらえてとても嬉しいです^ - ^ これからも更新頑張ります! (2020年5月23日 21時) (レス) id: 926dbf1062 (このIDを非表示/違反報告)
るい(プロフ) - うわぁぁめっちゃ好きです。めっちゃドキドキします。これからも更新頑張ってください! (2020年5月23日 20時) (レス) id: 7170045398 (このIDを非表示/違反報告)
からし(プロフ) - ゆに。さん» コメント有り難う御座います!夢主は作者の好みが詰め込まれているので可愛いと思って頂けたならとても嬉しいです!またお暇なときにでも見に来てくださいね^ - ^ (2020年5月20日 7時) (レス) id: 926dbf1062 (このIDを非表示/違反報告)
ゆに。(プロフ) - たまたまこの作品を見つけたんですけど、ものすんごく面白いです。めちゃくちゃ面白いです。夢主ちゃんも可愛いし続きが凄く気になります!!頑張ってください!!! (2020年5月20日 0時) (レス) id: 9d3542e5d1 (このIDを非表示/違反報告)
からし(プロフ) - 猫とやぎさん» コメントいつもありがとうございます!作者も早くくっつけたいです!更新頑張りますね^ - ^ (2020年5月19日 22時) (レス) id: 926dbf1062 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:からし | 作成日時:2020年5月18日 16時