男装パンダは恋を進めたい【沖田総悟】4

163、ヤキモチ ページ16

期日まで後四日。

昨日は妙にご機嫌斜めだった隊長のせいで妙に疲れている。
一日中不機嫌だったんだよあの人。
なんでなんだ。

おかげで全然告白のこと考えられなかったじゃないか。


「A、昨日の宿題はわかったかィ？」
「……わからない」

昨日、隊長から宿題を出されている。
『何故俺が怒っているのか考えなせェ』
とのことらしいが、それがわかったら苦労はしないというもので。

「ちゃんと考えろっつったろうが」
「オレに隊長の考えが分かるわけがないだろ……。せめてヒントくらい欲しい」
「ヒントねェ……」

隊長は考えるそぶりをした後、ちらりと私を見た後、大袈裟にため息をついた。

「考えることを放棄すんじゃねェや」
「……すみません………」

隊長が怒っていたのはおそらく私と……、加藤にだろうと仮定する。
急に隊長が怒り出したのはあの稽古の時だ。
その直前にしていたことといえば加藤と稽古をして、雑談をしたくらい。

あの時隊員は確か……。
加藤に笑っていたと、それが隊長の不機嫌に関係するような口ぶりでそう言っていた。
……私が加藤に笑ったからなんだっていうんだ？

しばらく悩んでいると、隊長の笑い声が聞こえて俯いていた視線をあげた。
なんだか面白いとばかりに笑みを浮かべていて呆気にとられる。

さ、さっきまで不機嫌だったのに……。

「本当、お前は色々まだ未熟だなァ」
「う……すまない………」
「ま、それがAだから仕方ねェか」

俺が大人になってやらァ、とそういって隊長はまた笑った。

「A」
「は、はい」
「お前は俺にだけ懐いてりゃいいんでィ。笑うのは俺の前だけ。……わかったか？」
「？わ、わかった……」
「……本当その手の知識ねェんだなァ………。こりゃ思ったよりも難関かもしれねェ」

その手の知識って、何？









《それはヤキモチと言いますのよ》

《餅？》

なんで餅？

考えても考えてもわからなかったから、繭にメールをしてみたのだが。
返ってきたメールはそんな内容でさらにわけがわからなくなる。
何故餅。


《嫉妬とも言い換えられますわ》

《嫉妬って、どういう事？》

《Aさんがその加藤さんって人と仲良くしてたのが気に入らないってことですわ。あなたが好きだから他のこと仲良くしないでって暗に伝えてきてますのよ》

咥えていた歯ブラシを思いっきり噛んでしまった。
ちょっと待てそんなばかな。

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