男装パンダは恋を進めたい【沖田総悟】4

161、不機嫌の理由は不明 ページ14

決着が付いたのだろう。
道場内に大歓声が響いた。

視線を隊長達のほうに戻せば……、あれ、隊長が負けてる。
予想とは違う光景に目を見開いた。


「珍しいこともあるッスね」
「そうだな。隊長が負けるのを見るのは久しぶりだ」

隊長は座り込んでいて、副長が竹刀を隊長へと突きつけていた。
隊員の終いの合図で副長は竹刀を下ろし、隊長は立ち上がる。

「……総悟、お前最後余所見してやがったな」
「俺のペットが他所に尻尾振ってるのが見えちまったんで」
「ちょっと待てそのペットってもしかして」
「ありがとうございやしたー」

……………。
ペットって、確か………。

「…….副隊長、俺の気のせいじゃなければ、なんスけど」

こっち向かってきてませんか？と加藤がそう言った。

ああ、そうだな。
こっちに向かってるな。
しかもなんか睨んでるな。

副長はため息を吐きながら頭を抱えていて、周りの隊員も何事かとこっちを見ている。
隊長の顔が、怖いんだが。
なんでこの人怒ってるんだ？！

「……A」
「はいっ」
「お前後で覚えてろ」
「は、はい…？」
「カトー稽古つけてやらァ」
「え！お、お願いしますッス！」

いや加藤今は受けちゃダメだと思うぞ？！
明らかに獰猛な虎みたいな目してるからな、隊長！
なんでそんなキラキラした目で竹刀を握ってるんだ馬鹿なのか？！

「でた、加藤のKY」
「あいつ終わったな……」
「つか沖田さん心狭すぎだろ」
「でも俺ちょっと沖田さんの気持ちもわかるなー」
「どういうことだ」

隊員達の言葉に思わずツッコミを入れた。
隊長の気持ちがわかるって、じゃあなんであの人急に怒り出したのかわかるってことか？？

「松平さん、本当にわからないんですか？」
「沖田隊長かわいそう……」
「わからないから聞いてるんだが……」

始め、という声とともに加藤と隊長の試合が始まった。
初めから加藤をぶっ飛ばしにかかっていて口元がひくついた。

「さっき松平さん加藤に笑ってましたよね…？」
「そ、それがどうした」

結構前から私は笑うようになったと思っているが。
それが何か変なことだったか？

「だから、加藤に笑ったから、」
「おいお前あんまり松平さんと話してるとお前も加藤みたいになるぜ」
「うっわそれは困る。それじゃそういうことで…っ」

そそくさと逃げていってしまった隊員に呆気に取られる。

私が笑ったから何故隊長が不機嫌になるんだ……？？

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