147、新たな悩み ページ49
すっかり熱もおさまり、元気になった隊長は朝からアイマスクをしたまま朝礼に参加し、副長にどやされるいつもの日々へと戻っていた。
私は、といえば。
「A、今日は久しぶりの見廻りだぜ」
「あ、……うん」
あの時のことが気になりすぎて若干挙動不審になってしまっている。
いや仕方ないよな??あんな事言われて気にならない奴いる?
気になり過ぎてもう色々どうしていいか私には分からない。
いつも通り車を出して、助手席でダルそうに座る隊長を横目でチラリと見てから視線をすぐに戻した。
…本当にいつも通りに見える。
つまり、あれは熱の時につい出た寝言みたいな、そういう奴で。
それはつまり、本音…?
いやあ落ち着け私狼狽えるな。
今狼狽えたら勘の鋭い隊長の事だ。絶対色々聞かれてしまう。
隊長は覚えていないのだから。
車を停めてからいつも通り隊長の数歩後ろを歩いて見廻りをする。
変な物がないか、とか変な人物はいないか、なんてチェックしていればいつの間にか隊長の足が止まっていたようでぶつかりそうになった。
危ない。頭同士がぶつかる所だった。
「A、横歩きなせェ」
「え、あ…ごめん」
大人しく横について歩く。
わー、なんだか違和感がある。
「…A、嘘じゃないんだろうな?」
「え?」
突然振られた話に、思わず隊長を見た。
隊長も私をじっと見つめていて、思わず足が止まる。
「この間言っただろ。俺には知ってて欲しいって」
「……うん」
この間というのは…きっと隊長の熱があった日の事だ。
それは、本当だ。
影の事は…流石に言う事は出来ないけれど。
性別の事はちゃんと話そうと、思っている。
自分の気持ちも、きちんと伝えないと。
「信じていいんだな?」
「…時間は、かかると思うけど」
「今言いなせェ」
「それは無理!」
まだ全然心の準備が出来ていないから!
舌打ちをした隊長はまたゆっくりと足を進め始める。
私もそれに倣って步を進めた。
「ま、もう少し待ってやりまさァ」
「ありがと…」
「A、でも早くしねぇと俺ァ我慢の限界がきて無理矢理喋らすかもしれねぇからな」
「っ!そ、それは、こ、困るというか、なんというか」
「冗談」
冗談に全然聞こえなかったよ。
表情も本気そうだったよ。
…本当に、いつ、言えばいいのだろう。
告白ってどうやるのかな、なんていうよく分からない悩みが私の頭を悩ませ続けた。
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からし(プロフ) - 猫とやぎさん» コメント有り難うございます!勉強大変だと思いますがその活力にこの小説がなれるなら嬉しいです^ - ^ 続編はもう公開してますから空いた時間にでも見に来てくださいね! (2020年5月19日 17時) (レス) id: 926dbf1062 (このIDを非表示/違反報告)
猫とやぎ(プロフ) - コメント失礼します!!学校が始まり…帰ってくれば塾…と占ツクあんまり見れてなくて死にそうになってたんですけど、この小説見た瞬間生き返りました…!!続編とても楽しみです!!!頑張ってください!!超楽しみにしてます!! (2020年5月19日 15時) (レス) id: 497823dae0 (このIDを非表示/違反報告)
からし(プロフ) - 常夏さん» コメント有り難うございます!楽しんでいただけているのなら何よりです!是非続編も宜しくお願いします^ - ^ (2020年5月18日 19時) (レス) id: 926dbf1062 (このIDを非表示/違反報告)
常夏(プロフ) - いつもキュンキュンして楽しませてもらってます! 続編も楽しみです(^^) (2020年5月18日 12時) (レス) id: 3853130063 (このIDを非表示/違反報告)
からし(プロフ) - 猫とやぎさん» 猫とやぎさん、感想をいつもありがとうございます!無事しっかりさせたようで良かったです^ - ^ 明日は更新できない可能性があって今日多めに投稿しましたが、明日も一話くらいはあげられるよう頑張りますね!また見にきてください(*^ω^*) (2020年5月16日 22時) (レス) id: 926dbf1062 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:からし | 作成日時:2020年5月6日 21時