135、分かりやすくて(別視点) ページ37
総悟の作戦は大成功だと言える。
Aとの距離が一気に近付いた気がして、総悟はホッと息を吐いた。
隣で歩くAはもう『隣で』という事に疑問を持っていないようで、繋いだ手も振り払おうともしない。
いつもより口調も表情も柔らかいAは、少し嬉しそうにしながらなんでもない雑談を口にこぼす。
その唇をじっと見つめた後、そっと視線をそらした。
(こういう時、キスしてェって思っちまうけど……)
まだ流石に早いか、なんて思う。
大体の人は付き合ってはいないけど好きな人にキスされたら嬉しくて、あれ、実は私のこと好き? なんて考えそうなものだが。
(Aに限ってはどっちかっていうと混乱して俺から離れそうなんだよなァ)
少なくともそんなポジティブには捉えないだろうと思う。
「総悟は、近藤さんの事好きだよね」
「ん?まあねィ。あの人は本当に特別でさァ」
「へぇー……。長官と同じ感じなのかな…」
(……そういや、とっつあんとAってどういう関係なんだ? )
腕っ節に惚れて養子にしたとは聞いているが、果たしてそれが本当なのかどうかは分からない。
少なくともAは表に出せないような秘密を沢山抱えている。
そんな人物をわざわざ養子にしたのには理由があるのではないか。
そこまで考えて、やめやめ。と心で呟く。
(今詮索したところでどうにもならねェ。まずはAの心を開いてもらわにゃ。
……ま、今日で大分前進できたと思うし…、次は何するかねェ)
Aの起こす反応を想像しながら、総悟は繋いだ手をしっかりにぎった。
顔を少し染めたAは手を繋いだままだという事に気が付いたようで、やっぱり離さないか?なんて言ってくる。
(離すわけねーだろ勿体ねェ)
「話す?今度は何を話しやしょうかねェ」
「いや、そっちの話すじゃなくて」
「ああ、そういやあの隊員の飼ってた犬だけどよ、」
「人の話聞いて」
それでも少し楽しそうにしているAに、総悟は笑みを浮かべた。
そうするとAは総悟の顔を少し眺めた後、耳まで赤くさせて視線を逸らす。
手を離す事は諦めた様子だった。
(ほんと、)
わっかりやすいやつ。
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からし(プロフ) - 猫とやぎさん» コメント有り難うございます!勉強大変だと思いますがその活力にこの小説がなれるなら嬉しいです^ - ^ 続編はもう公開してますから空いた時間にでも見に来てくださいね! (2020年5月19日 17時) (レス) id: 926dbf1062 (このIDを非表示/違反報告)
猫とやぎ(プロフ) - コメント失礼します!!学校が始まり…帰ってくれば塾…と占ツクあんまり見れてなくて死にそうになってたんですけど、この小説見た瞬間生き返りました…!!続編とても楽しみです!!!頑張ってください!!超楽しみにしてます!! (2020年5月19日 15時) (レス) id: 497823dae0 (このIDを非表示/違反報告)
からし(プロフ) - 常夏さん» コメント有り難うございます!楽しんでいただけているのなら何よりです!是非続編も宜しくお願いします^ - ^ (2020年5月18日 19時) (レス) id: 926dbf1062 (このIDを非表示/違反報告)
常夏(プロフ) - いつもキュンキュンして楽しませてもらってます! 続編も楽しみです(^^) (2020年5月18日 12時) (レス) id: 3853130063 (このIDを非表示/違反報告)
からし(プロフ) - 猫とやぎさん» 猫とやぎさん、感想をいつもありがとうございます!無事しっかりさせたようで良かったです^ - ^ 明日は更新できない可能性があって今日多めに投稿しましたが、明日も一話くらいはあげられるよう頑張りますね!また見にきてください(*^ω^*) (2020年5月16日 22時) (レス) id: 926dbf1062 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:からし | 作成日時:2020年5月6日 21時