男装パンダは恋を忘れられない【沖田総悟】3

127、尾行は必須 ページ29

「…隊長は、女性が嫌いなんですか？」

どうしても気になってしまってつい聞いてしまった…。
これで嫌いだったらどうしよう。

「別に嫌いってわけじゃねェ…。ん、そこ…」
「こ、ここですね。……でも、女性に対して冷たい気がしますが」
「俺ァSなんで」
「えす…？」

えすってなんだ？
指圧している手がつい力が抜けて隊長に、おいと声をかけられる。
慌てて指圧を再開すれば、気持ちよさそうにした後んー、と悩むような声を出した。

「…本当天然野郎でさァ。サド、サディストの略でさァ」
「え、」
「女はつい虐めたくなるんだよなァ…」

つまり、私は今男ってことになってるから優しくしてもらっているのか…？
や、やっぱり性別はバレないようにしないと。

「男も同じだけどなァ。ああ、Aにゃひでぇことするつもりは……多分ねぇ」
「多分っ！？」

多分って言った！？

「前は泣く顔なんざ、見たくねぇって思ってやしたが……、最近見たくてたまらねぇ時がある」

その言葉に思わず後退りしてしまった。
泣き顔が見たいって…え？

「んな逃げんな…。追い詰めたくなるだろうが」
「ひっ」
「…あーあ、全く…。そういう反応が俺を煽ってるって気が付いた方がいいですぜ」

まあ今はまだしねぇよ、と言った言葉に安心…出来ない。
まだって、まだって言いやがったこいつ。

「ところで、カトーの件、気になりやせん？」

急な話題転換に一瞬間が開いてしまったが、なんとか頷いた。
加藤の事は確かに心配だ。
遊園地、と答えてしまったが本当に大丈夫なのだろうか…。

「んじゃ決まりでィ」

何を？

「加藤の尾行、一緒にやるぜ」
「尾行…、え、見に行くんですか…？」
「アイツ緊張しすぎて失敗しそうな気がしまさァ」

……確かに、足は震えていたし、手は汗ばんでいたのか頻繁に物を落としていたし…。
今日の午後の手合わせは心ここにあらずという感じだったしな。
それを思い出すとかなり心配になってきた。

「…そう、ですね。確かにかなり心配です」
「だから面白おか……しく尾行しやしょうぜ」

言い直そうとして諦めたな？？？
…ま、まあ隊長はそういう人だからな。


それにしても…女性が嫌いではなくて本当に良か……いや別に関係ないだろ私。
何をそんなに気にしていたんだ全く…。

「それじゃ、続きしてくれやせん？」
「あ、はいすみません」

未だに寝転んだままの隊長の背中に戻り、また肩に手を当てた。

128、一体感が大切（別視点）→←126、加藤の初デート

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す