男装パンダは恋を忘れられない【沖田総悟】3

126、加藤の初デート ページ28

「え、デート……？！」

加藤の言葉に思わず本気で驚いてしまった。
遂に、加藤はあのももさんとのデートに漕ぎ着けられたらしい。
嬉しそうに報告する加藤は何度も頷いた後その表情を一気に曇らせた。

「で、でも何処に行けばいいのかさっぱりなんッス…」

女の子とデートなどした事がないと言い切った加藤は、そう言ってテーブルに沈んだ。
…したことがないなら確かに不安だろうなあ。
しかしそれを私に相談するのか…。
私だってデートだなんてした事……。

そういえば栗子とはよく出掛けたりしていたな。
天人の一件で栗子とはしばらく会えていないけど、元気だろうか…。

「副隊長？」
「カトー。女なんざ適当に甘い言葉を吐いてホテル連れ込みゃ一発でさァ」
「ちょ！？何言ってるッスか！？」

……そういえば、隊長って基本女に冷たい気がする。
繭もそうだし、チャイナもそうだし…。
志村妙くらいじゃないか？普通に喋ってるの。

つまり、私が女だってバレたら…？

『まさかテメェが女だとは思わなかったぜ。よくも騙してくれたなこの雌豚』
脳内で隊長の声がリピートした。
あ、やばいすごく辛いぞこれ。

「…ふ、副隊長？」
「あ、いや。すまん。どういうデートがいいかと悩んでいて…」

すまない加藤。
今は隊長の女嫌い説が浮上していてそれどころじゃない…。
いやしかし折角デートまで漕ぎ着けたのだからどうにかして成功させてあげるべきだろう。

「…無難なのは遊園地や水族館…動物園なんかもそうだな。好みは何か聞いているのか？日程は？」
「日程は来週ッス。好みは…わ、分からないッス。どこでもいいよと言ってくれたッスけど…」
「そうか…。どこでもいいは確かに困るな…」

ここは普通に遊園地がいいんじゃないだろうか。
あそこなら沢山のアトラクションがあるし、どれかは好きなものがあるはずだろう。
…私みたいに騒がしい所や人の多いところが苦手でない限り。

「人混みは苦手そうか？」
「並んでお菓子を買ったりするってよく言ってたッス」
「じゃあ、遊園地がいいかもな。あそこなら一日中遊んでいられるだろうし」
「…そんな無難でいいんで？」
「隊長…初めてのデートですよ？最初から変な事しない方がいいと思いますが」
「確かにそうッスね…。わかりました！チケット手配しとくッス！」

そう言って加藤は一つ頭を下げると、伸びきったラーメンに手を伸ばした。

頑張れ、加藤。

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