男装パンダは恋を忘れられない【沖田総悟】3

118、万事屋の依頼 ページ20

「まあ、まあまあまあ。いいわいいわ、あなたなら」
「…有難うございます」

私は引きつりそうな顔を全心全力で抑えてどうにか堪えた。
…万事屋からの依頼の所為だマジあいつら一回殴る。

「それで…ストーカーの撃退、でしたね。お辛かったでしょう」
「本当辛かったの。お願い出来るかしら？」
「誠心誠意努めさせて頂きます」

目の前にいるこの非常に綺麗な女性は今回、万事屋に依頼をした依頼主だ。
ストーカー被害にあい、困っていたところに万事屋の看板を見つけて依頼をしたとの事で、内容は男一人を侍らせて一日を人目につくところで兎に角出歩く事。

今私はとある組織に狙われている可能性がある為、また志村妙に協力してもらい髪色から髪型、顔も化粧を施していつもより男らしくしてもらっている。
私の周囲には万事屋メンバーと何かあった時にすぐ駆けつけられるよう隊長がこっそり尾行する事になっているが…本当なんでこんな事に。

「さて、ではどこを歩きましょうか」

女性に腕を掴まれて、さて出発だ。
適当に町並みを見歩きながら会話をしつつ周囲を警戒する。

「…ちなみに、どんな被害に遭われていたのですか？」
「そうねえ…下着を盗まれたりお手紙が届いたり…、直接声をかけてきたこともありましたわ」

おいそれ結構過激な方のストーカーじゃないか？！

「声をかけられたって…大丈夫だったのですか？」
「思いっきり蹴り飛ばして差し上げましたわ」

大事なところを、と付け足した女性にちょっとその犯人に同情した。
……とても痛かっただろうな……。

「あなたはストーカーにあいませんの？されそうな見目しておりますわ」
「そうでしょうか？…ストーカーはいた事はありませんが、直接お声をかけられることは多々ありますよ」

主に女性にだが。

「あらま、つい話しかけたくなる雰囲気ですものね」
「そうでしょうか…？オレ自身は話しかけにくい方なのでは、なんて思っておりましたが」

見ての通り表情があまりない方ですので、と付け足すと、女性はにこりと微笑む。

「その無表情がまた美少年感を強くしていいのですわ」
「美少ね……そ、そうですか…」

あまり…あまり嬉しくない……。

ま、まあ気を取り直してそのストーカーとやらを見つけなくては…。

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