111、馬鹿なやつ(別視点) ページ13
謝ったAに、総悟はため息をついた。
(この、ド天然野郎一回しばいてやろうか)
気まずそうに運転席に座っているAは本当に何故総悟が怒っているのか分かっていない様子で。
「…これからの質問に嘘偽りなく答えろ。
答えなかったら二度とお前を友人とも思わねェ」
「っ……は、はい…」
総悟は、ふっと息を吸った。
「一つ目。少しでもその男を良いと思ったのか」
「…恋愛的な意味で言うなら…いいえ、です」
(じゃあ好きになりたいだなんて、なんで思った…?)
総悟は考えるような素振りを見せたあと、ちらりとAに視線を送る。
完全に強張ってしまっているその表情は、明らかに総悟の言った脅しを意識している様子で。
「二つ目。何故その医者を好きになりたいなんて思った」
「…………秘密を…、」
「ハッキリ喋れ」
「オレの専属医で、秘密を、知っている人だから。オレの体の…」
(体の秘密…とっつあんが言ってた体に問題を抱えてるっつーあれか…)
つまり、その医者はAの体のことを知っていて告白をしてきたと。
Aにとってそこが大事な部分であり、その所為で曙に心を揺らがせているのだという結論に行きつき、こめかみを揉む。
「…三つ目。俺がその秘密を知ったらどうなる」
「オレは真選組にいられなく…いや、二度と会う事も出来なくなるかも、しれません」
「…上官命令か?」
「はい」
(段々、読めてきた)
Aにとって体の秘密を知っているか否かが決め手だったのだろう。
しかし、上官命令というには。
(とっつあんはAを任せる、というような素振りを見せてきやがった。…空回りしてんのはコイツ一人って事じゃねぇのか)
上官命令というのは片栗虎からのものだろう。
そしてその片栗虎はAを泣かせるな、とそれだけ言って総悟に託してきた。
つまりは。
「…なるほどなぁ。分かりやした」
「え、」
「お前が馬鹿だって事がよーく分かりやした」
(少なくともとっつあんはAの体の秘密を…頑なに隠してェわけじゃねェ。付き合うっつー事は体を見ると同じ事だ。任せるっつってんだからそりゃねぇだろ)
つまり、Aが勝手に悩んで思い込んでいるだけだ。
そう結論付けて総悟は大きく溜息をついた。
「さっさと出なせェ。見舞いもあんだろうが」
車から出た総悟を慌ててついていくAは、総悟に嫌われたのでは、なんて苦しい思いを抱えながら後を追って行った。
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からし(プロフ) - 猫とやぎさん» コメント有り難うございます!勉強大変だと思いますがその活力にこの小説がなれるなら嬉しいです^ - ^ 続編はもう公開してますから空いた時間にでも見に来てくださいね! (2020年5月19日 17時) (レス) id: 926dbf1062 (このIDを非表示/違反報告)
猫とやぎ(プロフ) - コメント失礼します!!学校が始まり…帰ってくれば塾…と占ツクあんまり見れてなくて死にそうになってたんですけど、この小説見た瞬間生き返りました…!!続編とても楽しみです!!!頑張ってください!!超楽しみにしてます!! (2020年5月19日 15時) (レス) id: 497823dae0 (このIDを非表示/違反報告)
からし(プロフ) - 常夏さん» コメント有り難うございます!楽しんでいただけているのなら何よりです!是非続編も宜しくお願いします^ - ^ (2020年5月18日 19時) (レス) id: 926dbf1062 (このIDを非表示/違反報告)
常夏(プロフ) - いつもキュンキュンして楽しませてもらってます! 続編も楽しみです(^^) (2020年5月18日 12時) (レス) id: 3853130063 (このIDを非表示/違反報告)
からし(プロフ) - 猫とやぎさん» 猫とやぎさん、感想をいつもありがとうございます!無事しっかりさせたようで良かったです^ - ^ 明日は更新できない可能性があって今日多めに投稿しましたが、明日も一話くらいはあげられるよう頑張りますね!また見にきてください(*^ω^*) (2020年5月16日 22時) (レス) id: 926dbf1062 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:からし | 作成日時:2020年5月6日 21時