男装パンダは恋を忘れられない【沖田総悟】3

109、四面楚歌 ページ11

「た、隊長…？」

な、何故この部屋に隊長がいる？
確か受付フロアで緑が隊長を抑えていた筈なのに…。

と思えば隊長の後ろで申し訳なさそうな顔をした緑がいて、強行突破されたのだという結論に至る。
…うちの隊長がほんとすみません。
言う事全然聞かない人なんです、本当に。

「3秒以内に返答しろA…。1、」
「もう撃ってます！！長官！」
「男は1だけ数えられりゃいいんだよ」

顔のスレスレを銃弾が通ったっ！！？
両手を思わず上げた私はひやりと汗を流した。
た、隊長の前で男に告白されたって言わなくちゃ駄目なのかこれ…っ。

「さ、されました…」

曙本当にすまない。
私には隠し通せない。

「何処のどいつだ」
「い、医者の…曙…」
「へぇ…医者の男……ねェ。パンダは随分モテるようで」

なんで隊長まで不機嫌なんだっ！
声色が恐ろしくて思わず身震いする。
これ味方…そういえば緑がいるな。
ちらりと緑がいた方を見て、いつの間にか姿を消していた事にため息が出そうになった。
…あいつ、逃げたな…。

「で？返事は？」
「……いつでもいいと、言われて」

まだしてません。と言えば隊長が私の肩を掴んだ。

「ひっ」
「断れ今すぐ」
「そうだぞA。あんな変態男じゃ駄目だ。断れ今すぐ」
「え、いやでも…」

人に言われて告白断るって結構外道じゃないかそれ？
いいの？そんなんで本当にいいのか？？

「パンダ？」
「はい断ってきます…」

隊長が異様に恐ろしくて思わず返事をしてしまった。
…曙…本当ごめん。

「総悟、テメェもその手を離せ」
「嫌でさァ。いくらとっつあんの頼みでもそりゃ聞けねェですぜ」

暫く二人は睨み合ったあと、長官が折れたらしい。
ため息をつき、まあ総悟ならいいか、と小さく呟いた。

「おい泣かせたら分かってるよな？おじさん本当カンカンに怒るからな？」
「分かってまさァ」
「え？」
「A…。何かされたらすぐこのお父さんに言いなさい」
「は、はい…？」

よく分からないがこの二人の間で一体何のやりとりをしたのだろうか…。

「んじゃま、病院に行ってしっかり断ってくるように。ああ、あとこのお見舞い品を入院中の部下に持って行ってくれぇ」

そう言って差し出された果物を受け取って私は頷いた。
赤に会わせてくれるのですね、長官。
感謝しますが、曙の事、本当に断らなくては駄目でしょうかね…。
こんなやり方で断って本当に良いのだろうか…。

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