202、果たさねばならぬ約束（別視点） ページ7
(…あ、れ)
Aは、二人の攻防を見て気が付いたことがあった。
少しずつだが、二人の場所が移動し、海側へ向かっている事に。
(…やれる？)
沖田に、自分の恋人に兄を任せて良いのだろうか。
…否。
これは、A自身で解決しなくてはならない事だった。
(大切な人を殺してしまった、私の罰は、)
大切な人をおいて。
(…約束、したもんね)
約束を、果たそう。
歳の持っていた小刀が思い切り沖田の足を貫いた。
痛みで悲鳴をあげる沖田を見て、Aは駆け出す。
そして、思いっきり兄の体にしがみついた。
攻防はとまり、沖田はどうにか一度距離を取れたが、足の出血がひどく、片足をつく。
「A！！」
「A、愛しい人を殺される気分はどう？」
Aは何も言わず、ただゆっくりと沖田に向かって笑みを浮かべた。
(総悟、巻き込んで、ごめん)
痛い思いをさせてしまって、ごめん。
話の続き、聞けなくてごめん。
たくさんのごめんが、溢れてくる。
「…おい、A」
沖田は目を見開いた。
Aの表情が、
(今更、なんでその顔を俺に向ける…？)
ただ、顔を笑わせているだけの、心のない笑顔。
沖田が見たくない表情が、自分自身に向けられている。
「歳兄さん、ずっと忘れててごめんね。
約束、果たそう」
ずるりと、Aは後ろへと足を滑らせた。
(総悟、総悟には生きていてほしいから)
沖田が悲痛な顔で手を伸ばす姿を最後に見て、Aの体は勢いよく海へと叩きつけられた。
(…兄さんは、泳げない)
一緒に逝こう、兄さん。
あの日の約束を果たそう。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 185人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
つむ(^p^)**(プロフ) - 思わずキュンとしてしまう場面が多々あり、沖田の純愛ぶりにはとても胸が熱くなりました。本当に大好きです。長文失礼しました。これから先もずっと見返して、また感動したいと思います！ (2022年1月11日 1時) (
レス) id: 7bdd5c1516 (このIDを非表示/違反報告)
つむ(^p^)**(プロフ) - 2年越しとか笑えないくらい経ってからのコメント失礼します。夢主ちゃんの芯の強さにも心惹かれるものがあったし、作中で出てくる女の子たちもみんな根が優しくて夢小説という括りを超えて純粋に感動出来た作品でした。夢主ちゃんと沖田にはこちらも (2022年1月11日 1時) (レス) @page19 id: 7bdd5c1516 (このIDを非表示/違反報告)
からし(プロフ) - 瑞稀さん» ここまで読んで頂き有難う御座います！面白いと言って頂けてとても嬉しいです^_^ (2020年4月16日 21時) (レス) id: 926dbf1062 (このIDを非表示/違反報告)
瑞稀(プロフ) - めちゃめちゃ面白かったです…！！！一気読みしてしまいました笑 完結おめでとうございます！ (2020年4月16日 21時) (レス) id: 503fd2a4ac (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：からし | 作成日時：2020年4月6日 23時
