198、目的が分からない（別視点） ページ3
「問題ねぇ。本川には発信機つけてある」
土方の言葉に、一同は安堵の息を漏らした。
このまま見失うという事はなさそうだった。
車に乗り込み追いかけている最中、Aは別のことで頭がいっぱいになっていた。
(私は、あの男を知っている)
でも、どうしても思い出せないのだ。
すぐそこまで、答えが来ている気がするのに、
「A、具合でも悪いかィ？」
沖田が心配そうにAに問いかけるが、いつものポーカーフェイスすら作れず、Aは首を振って流れていく景色をただぼうっと眺めた。
知っているはずなのだ。
あの男を。
だってこんなにも。
(怖くて怖くて…堪らない)
発信機が動かなくなった場所は、海のそばにある廃工場だった。
使われていない工場がまだそのまま解体されずに残っており、崩落の危険性から立ち入りを禁止されている場所である。
「A、少し外の空気吸いに行こう」
「…ん」
明らかに様子のおかしいAの側を離れるわけにはいかず、沖田はAと一緒に車の近くで待つことになった。
Aを外へと連れ出し、海の方へと二人は歩く。
廃工場の一室では、少女達が閉じ込められていた。
最低限の食事は与えられているのか、餓死しない程度には皆生きている様で。
しかし生きているとは言ってももう心は死んでしまったようだと、本川は思ってしまう。
それくらい、室内は暗く淀んでいた。
「あなた、新入りさんね…。歓迎するわ」
「…これは、一体、いつから」
「わからない。ここにいると日にちの感覚なんてなくなっちゃうの」
話しかけてきた少女のとなりに腰をおろした本川は、室内をぐるりと見渡した。
薄暗く、ジメジメとしている部屋の中に…およそ十人ほどだろうか。
全員が12前後くらいの少女達だ。
(私もう17なんだけど…)
なんて言える様な状況でもないのだが。
「あの男、よくこの部屋をそこの小窓から眺めてくるわ」
そう言って指先が指したのは扉に付いている小さな小窓。
「入ってきたりしないの？」
「今まで一度もないわ。食事の時だけ扉が開くけど、中に入ってこないの」
なにがしたいのかな。
そう少女は一人呟いた。
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つむ(^p^)**(プロフ) - 思わずキュンとしてしまう場面が多々あり、沖田の純愛ぶりにはとても胸が熱くなりました。本当に大好きです。長文失礼しました。これから先もずっと見返して、また感動したいと思います！ (2022年1月11日 1時) (
レス) id: 7bdd5c1516 (このIDを非表示/違反報告)
つむ(^p^)**(プロフ) - 2年越しとか笑えないくらい経ってからのコメント失礼します。夢主ちゃんの芯の強さにも心惹かれるものがあったし、作中で出てくる女の子たちもみんな根が優しくて夢小説という括りを超えて純粋に感動出来た作品でした。夢主ちゃんと沖田にはこちらも (2022年1月11日 1時) (レス) @page19 id: 7bdd5c1516 (このIDを非表示/違反報告)
からし(プロフ) - 瑞稀さん» ここまで読んで頂き有難う御座います！面白いと言って頂けてとても嬉しいです^_^ (2020年4月16日 21時) (レス) id: 926dbf1062 (このIDを非表示/違反報告)
瑞稀(プロフ) - めちゃめちゃ面白かったです…！！！一気読みしてしまいました笑 完結おめでとうございます！ (2020年4月16日 21時) (レス) id: 503fd2a4ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：からし | 作成日時：2020年4月6日 23時
