くすり(紫) (ページ36)

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『うん。…なに？』

真剣な様子に私も真面目に聞こうとふっかの目を見る。

「俺さ、ずっと自覚あったの」

『…なんの？』

「俺が友達とか親友とか言う言葉出すとAが一瞬黙ること、ちょっと傷ついた顔すること」

『…うん』

「…クリスマスの日覚えてる？本当はあの日言おうと思ってた。だけど行けなくて言えなくて、そこからそんな空気じゃなくなっちゃって」

『…うん』

「やっぱり俺よりほかにもっといい人いるんじゃないかなって思ったりして。でもやっぱり諦めきれなくて」

『…ねえ、そんな回りくどいこといいからはっきり言ってよ』

その先を聞きたくてつい急かしてしまう。

その先は私が期待しているものだと信じて。

「あ〜、これめっちゃ緊張する」

ふっかは手で顔を隠して

「ちょっとまって……」

とか

「あのさ…あ〜」

なんて繰り返して。

『もう…私から言うよ？』

「わ〜、まってまって！言います！」

痺れを切らして私から言おうとするとふっかからの制止。

でもそれでやっと決心がついたのか深呼吸して口を開く。

「Aのことが好きです。俺と付き合ってくれませんか？」

『…遅いよバカ』

返事の代わりに抱きつけば、

戸惑いながらも抱き締め返してくれて。

「あ〜〜〜、やっと俺の彼女だね？」

『…どんだけ待たせるのかと思った』

「ごめん。舘さんにも怒られたわ。あの2人付き合ったって聞いた時に俺やばいなって思った」

『…その分幸せにしてよね？』

「もちろん。まあなんと言ってもふっかさんですから」

『…なにそれ』

だいぶ遠い道のりだったけど、

ここからはもう幸せしかないよね？

『…あ〜、帰りたくないなあ』

本音を零せば、俺もって言いながら顔を近づけられて。

目を瞑ればそのまま触れるか触れないかのキス。

一度離れて、またもう一度。

「あ〜、俺幸せ者だわ」

『わたしも』

『…すきだよ』

まだ私からは言ってなかったその言葉に顔を赤くして。

こんな幸せがずっと続きますように。