くすり(紫) (ページ14)

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やっと少しずつ暑さが落ち着いて来たかなって思える10月。

10月のメイン行事といえばやっぱり文化祭。

このクラスも例外ではなく盛り上がりを見せていて。

3年生は食べ物屋台やるのが多いから、うちのクラスも焼き鳥っていう無難な感じの出し物。

「ね、シフトどうする？」

『めんどくさいのは午前中に終わらせちゃおうよ。で午後思いっきりまわろ』

「あ〜、その件なんだけどさ…」

愛美とシフトについて話してたら、なんだか言いづらそうにしてて。

『なに、どしたの？』

「…あのさ、私彼氏と回っちゃダメ？」

『え〜！高校最後だよ！一緒に回ろうよ〜』

「2日目は！一緒に回るから！お願い！」

パン！と手を合わせてお願いされるけど、私も愛美と回りたくて。

でも高校最後だし彼氏と一緒に回りたい気持ちもわかる。

仕方ない、別の友達に混ぜてもらうか…と渋々了承すると、突然愛美がニヤニヤしだして。

「その変わり、Aはふっかと回っておいでよ」

『え！？』

わ、思わずおっきな声出ちゃった…けど、周りもザワザワしてるから気にされてないみたい。

『いやいやいや、ふっか絶対他の人と回るでしょ』

「ふふ〜ん、私の彼氏は誰ですか？」

『あ〜…なるほど…』

愛美の彼氏…佐久間くんはふっかと仲がいいから、必然的にふっかも1人なわけだ。

思わずチラリとふっか達のいる方を見ると、ちょうど2人も同じ話をしてたのかアイコンタクトをされて。

口パクで、「いっしょにまわろ」って言ってる。ふっか嫌じゃないのかな。

だけど何も言えなくて頷くしかなくて。

「と！いうわけで！私は彼氏と回るのでAも今度こそ告白しなよ」

『もー、調子いいんだから…』

まあ…でもほんとは内心うれしいと思っている自分もいる。

ほぼ強制で一緒に回ることになったけど、確かに今度こそ告白するチャンスかもしれない。

…がんばってみるかなあ、