【ヒロアカ】光速、遠回り【相澤消太】 (ページ10)

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翌朝。
出かける準備を整えていたところ、ヒーロー公安委員会から連絡が来た。

要件は病院の検査で見つかった謎の物質について。
警察と交えて話したいと言うので、雄英行きを遅らせ、公安のビルに向かうことにした。

公安に着けば、通されたのは会長室。

･･････意外だな。そんなに暇じゃないだろうに。

室内には私と会長以外にスーツ姿の男性が1人。

「はじめまして。警視庁の塚内です」

「こんな姿ですが、ヒーローのフラッシュです」

軽い挨拶と共に握手を交わす。

「単刀直入に言うわ。フラッシュ、貴方の体内から検出された物質は警察が秘密裏に追っていた薬と関係があるみたいなの」

会長に続けて、塚内さんが書類を数枚並べる。

「我々が押収している試作段階のものと形状が似ていると検査機関の報告を受けてます」

何やら難しい数値の書かれた紙を一瞥してから、再び塚内さんの顔を見る。

「もしこの物質が若返りを促すものだった場合、例の薬は完成したことになってしまう。幸い、若返りが起きた例はまだ他に確認されてない」

「･･････つまり、その薬を製造した何者かはまだそれが完成したことに気づいてないというわけですか？」

「ええ。
･･････もしその薬が闇市場に出回った場合、強大な敵が戻ってくる」

強大な敵。
近年で1番デカい事件といえば･･････

「オール・フォー・ワン、ですか？」

「ああ。だから君が生きていることを世間に隠してもらいたい」

塚内さんの言葉に深く頷く。

薬の解毒ができるか、訓練し直さない限りヒーロー活動はできないのだ。
世間に死んだと思われていても何ら支障はない。

「この件は雄英高校にも伝えているわ。根津校長からは、雄英の生徒として迎えるとの返答が来てる」

会長の言葉にギョッとする。

つまり、高1からやり直せ、と？

「雄英の施設を借りて、個性や実技訓練のみ行えばいいのではないですか？さすがに、授業を受ける必要は･･････」

「貴方の正体がフラッシュであることを宣言できるのならそれでいいでしょう。しかし、できないのが現状。雄英に妙な噂が立って信用が落ちるのは大問題です」

会長に一刀両断され言葉に詰まる。

けど、15個下の子供たちと青春するなんてキツい。
プラス、知った顔のヒーローたちの授業を学生として受けなきゃならないなんて、どんな苦行だ。

「元に戻る保証なんてないの。フラッシュとは全く別のヒーローになる気で学び直してきなさい」

容赦なく言い切られ、完敗。

同情するように肩を叩く塚内さんに泣きつこうかと半ば本気で思った。