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第十話[死ねない理由] ページ13

太宰は敦を社員寮へ届けた後
私をどうするか考えていた






「うーん、女の子独りは流石にねぇ?」


下心があるようにしか聞こえないのは
私だけだろうか


『私は探偵社には入らない!』


「良いの?」


『"良いの?"って...そんなの!!』


矢張り此奴にはお見通しなのだろうか
良くない事は分かっている
昔からそうだ。


親もいなくて、
生きる理由もなくて
さっさと死ねば良かったのに


それでも死ななかったのは









それでも死ねなかった(・・・・・・)のは...




『......如何したら良いか分かんなかった。』



心の底から湧き出る感情
長らく忘れていた、消していた感情。


苦しみ悲しみ悔しさ憎悪


「......」


『死にたかったのに....死ねなかったッ』


ナイフも銃の弾も全て消えてしまうから(・・・・・・・・)


『生きる理由が消えて、
死ねない体だけが残ったッ!


本当はアンタ達なんか、
助けるつもりも無かったのにッ』


「嘘だね」


『ッ!』


太宰は低い声で私に云った


「君の事は知っている
昔起きた"不可解な事件"の生き残りだ






其の変死体の死因は








心臓だけ綺麗に消えていたからだ(・・・・・・・・・・・・・・・)


『......何で、知って...』


そこに居たからさ(・・・・・・・・)


『......え?』


そこに......居た。


然し太宰の異能は異能力無効化、


つまり...


『あれは、...あの時のあの()









_____太宰?』



「_____そうだよ。」



嘘。



「あの時君は、
まだ十歳にもなっていなかったね。
血を吐く死体に囲まれ、
ただ静かに涙を流す少女が生きていては、
君が異能力者であることは直ぐ分かった」


私を助けてくれたのが太宰だった。


『......一つ聞きたい』


「......なんだい?」


『如何して私を助けたの?』



異能力無効化の太宰なら、
私に触れた状態で殺す事も出来ただろう


何故_____


『何故私を"殺してくれなかったの?"』


「ッ!...
___私と似ていた、...否、









私も同じだったからさ。」



太宰は吐き捨てるように云った


「私も、
その頃この世界にうんざりしていたんだ
君だってそう思う事はあるだろう?」


あった、
何度も何度も
何時も、思っていた


「そこで、君を見て、
少し、助けてみたい。そう思った
疑問に思ったんだ









この子はこの世界で、この先、
どう生きるのだろう、ってね。」

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ラッキーカラー

あずきいろ


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作者名:蒼花 | 作成日時:2019年5月23日 18時

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