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「アーン?1回戦不戦勝?」
「なんでも、対戦国のアラメノマの選手が今朝全員帰国してしまったようだよ。」
「なぜ急に?」
「試合当日になって?原因は分からないんすか?」
「相変わらず情報はシャットアウトで、帰国原因は不明だ。」
「ふん。いずれにしても、コマをひとつ進めたわけだな」
「よって本日、我々は偵察を兼ねた他国の試合観戦となる。特に中学生共、世界をその目に焼き付けてこい!」
フランスとドイツ、どちらを見るか迷いに迷ったのだろう、皇はタブレットで両方見ることにした。
「いえーい繋がってる?音声聞こえてるー?」
『聞こえてる聞こえてる。そんな大声出さない』
「はーい。」
細川にフランス戦をテレビ通話で中継してもらっていた。皇曰く、イケメンはこの目に焼き付けておきたいが、どうしてもプランスに会いたくないとの事。めんどうなことは避けたいらしい。
「皇さんは何を見てるの?」
『ん?今細川に中継してもらってフランス見てるのよ』
「あっ幸村精市じゃん!いえーい見てるー?」
「細川さんか、確か立海の女テニは準優勝だったね。」
「幸村たちも準優勝じゃん!」
幸村が微笑む。それに皇は少し呆れたように呟く。
『ふふ、細川には手を焼いたよ。強いのよ、彼女。』
「君だって充分強いくせに?」
「あれこれ無視されてる?おーい聞こえてますかー!」
『それにしても、イングランドが一方的に負けるなんて、たとえ世界7位だとはいえ力の差は絶大だね。あとうるさいよ細川。』
すると細川は少し怒ったように、
「ほらやっぱ聞こえてんじゃん!無視すんな!」
『ごめん話に夢中になっちゃった』
「おいこら!泣いちゃうよ!」
『泣きなさい』
「嘘でしょあんた!悪魔!」
『あらそんなこと言ってもいいのかしら』
「…それより!フランス見よう!」
『あら、カミュじゃない』
「誰?」
『テニス版サンシャイン池崎』
「あー把握」
幸村が苦笑する。
「それでわかるんだね」
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作者名:満天月 | 作成日時:2023年7月14日 19時