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『ふぅ…』
エキシビションが終わったあと、皇はベンチで休憩していた。機材はあと30分程で直る、そう告げられたのが10分前、つまりあと20分で試合が始まるわけだ。皇はポカリの置いてあるベンチへ手を伸ばしたが、ポカリを掴む感覚がない。否、厳密にはポカリがないと言った方が正しい。
「探しているのはこれかな?」
『冷たっ』
ピト、頬に冷たいものを押し当てられる感触と、最近よく聞く中性的な声を感じた。
『幸村君?』
「正解だよ。お隣、良いかな」
『勿論、要件は?』
「いや特に無いんだ。ただ、君が男装をする理由を知りたくて」
ああそんな事ね、と皇がポカリを1口。
『趣味だよ。…あら?どうした?』
「皇さんのことだからもっと壮大な理由があるのかと思ったよ。」
『いいじゃない趣味で、結構いいよ?男装。幸村君も女装やってみる?』
「遠慮しておくよ…やり始めたのは何歳から?」
『ふふ。聞いて驚け見て笑え!』
「笑ったらダメだろ」
『なんと、8歳から!!』
「へぇ8歳」
『あれ?反応薄いな』
「ふふ、そんなことないよ。8歳ってことは小学生かぁ。皇さんはどこの小学校行ってたの?やっぱり氷帝?」
幸村は小学生時代を懐かしむようにそういった。
『あ、言ってなかったっけ』
『私ドイツに居たの』
「え?」
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作者名:満天月 | 作成日時:2023年7月14日 19時