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皇は仲間たちが戦っているであろう会場の方を、じっと見ている。
「試合は見なくて良いのかい?」
『重要な試合だけどねぇ、私がいてもいなくても案外変わらないものよ。それに私は少し行かなきゃ行けない場所があるから』
「次は試合で会えるといいね」
『そうね、楽しみ』
「…勝てる算段でもあるのかい?」
『作戦はもう立ててある、でも結局は彼ら次第よ。まぁ、勝つけど』
そう言い放った彼女に、レンドールは「そうか」苦笑した。皇はにっこりと笑って、『支払いはもう済ませたわ。それじゃバイバイ』とだけ言い残して去っていった。
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皇が向かったのは選手タウン近辺のテニスコート。そこでは女子日本代表達が練習をしていた。
「先輩!」
『練習はどう?私が教えた技、覚えれた?』
「はい!見てください!」
『いいわ!じゃあ見せて。球出しするわ』
「はい!…いきます!せいっ!」
ボールが回転し、地面と接する。そのままバウンドすると思いきや、ボールは手前に転がる。
『やっぱりあなたには素質があるわ!零式ドロップを1週間で会得するなんて』
「ありがとうございます!」
『でももう少し力を抜いた方がいいんじゃない?力加減と腕の位置に気をつけてみて』
「はい」
『あら?細川と姫は?』
「呼んだ?」
「うわっ」
と細川がどこからともなくぬっと出てくる。
『ちょうどいいところに』
「そう!君忘れてるけど代表選考会!くじ!引いてきてあげたよ!」
『え』
『そんなものあったかしら〜』
皇がしらばっくれる。
「初戦、アメリカだよ?大丈夫?」
『まあ最初からクライマックス』
「アメリカってリョーマくんがいたところでしたっけ」
『そうね。世界ランク2位の国よ』
「2位がアメリカってことは1位はどこなんですか?」
「ドイツだ。」
『あら姫、どこ行ってたの?』
「姫って呼ぶな。御手洗に言ってただけだ。」
『ごめんなさい、ドイツは初戦どこなの?』
「ポーランドだ。」
『ふーん』
「素っ気ない返事をするなお前から聞いただろ」
『ふふ、ちょっと考え事をね』
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作者名:満天月 | 作成日時:2023年7月14日 19時