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selfishness ページ6

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「おはようございます。学校までお送り致しますよ。」



「…春千夜、ありがとう」


次の日の朝。相変わらず浮かない顔付きで俺の手を取る彼女は目の下に隈が出来ていて何処か顔色が悪い。そんな彼女をちらりと見た俺は「…昨日はよく眠れましたか?」 と問いただし、分かりやすく肩が大きく揺れた彼女の反応を汲まなく視界に入れる。


「うん、眠れたよ」


「…そうですか。良かったです」


息を吐くように嘘をつく彼女を見た俺は、すぐに愛想笑いを浮かべて思ってもいない言葉を並べる。いつも通りたわいもない話を投げかける彼女に相槌を打ちながらこれからある首領との会議に頭を働かせていれば、信号待ちのタイミングでAが窓の外を眺める。そこには先日居たような女子高生が肩を並べながら登校している姿があり、携帯を弄りながら笑い合う光景にAの意識が其方に逸れ始めてしまったのだった。


「…いいな」


「……」


不意に本音が零れた彼女の言葉に、ああ、やっぱりかと思い再び視線を前にずらす。彼女はお嬢様という肩書きに嫌悪感を感じているように見えたのはどうやら勘違いでは無いらしい。金持ちでエリートの娘は自分の立場を誇張して我儘を言いまくるような性質があるように思えるが、彼女にそんな素振りはなくお嬢様でも珍しい部類の素直さだった。お嬢様というよりかは、普通の人間に憧れているような。そんな感覚が彼女の様子を見て取れる。



「お嬢様は、ああいう方達が羨ましいとお思いですか?」



そう、これは見ず知らずの『お嬢様』を3ヶ月間守りながら世話をしていく仕事。彼女の感情だとか生き方などに関心を持っている場合では無かった。心のどこかでそれを自覚している筈なのに、彼女が自分に縋るような素振りを見せればそれに答えてしまうような魅力が、Aにはあった。


「……羨ましい」


「でも、お父様の言うことは聞かなきゃダメだから」 そう切なげに呟いて下を向く彼女は今日も、お嬢様学校の制服を着て艶のいい髪の毛を上品に結って生きていく。3ヶ月後に俺が居なくなってしまえばコイツは死んでしまうのではないか、と思ってしまう程に脆く嫋やかな彼女の心は今にも折れてしまいそうに見えた。


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ぱむむ(プロフ) - 私も応援してます♡春千夜の作品大好きです♡ (2021年11月12日 7時) (レス) @page5 id: ac3050bbcb (このIDを非表示/違反報告)
りんご - めっちゃ面白いです! (2021年11月12日 5時) (レス) @page5 id: 15d4b06566 (このIDを非表示/違反報告)
43 −ヨミ−(プロフ) - 初めまして、コメント失礼致します( ᵕᴗᵕ ) 新作有難う御座います…! レモン様の書かれる小説いつも素敵で楽しませて頂いております´`* 更新お疲れ様です、応援しております( . .)" (2021年11月12日 0時) (レス) @page5 id: 1d67640196 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:レモン | 作成日時:2021年11月12日 0時

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