43話 ページ45
「坂本…先生!」
椋木先生は職員室に入ると早速坂本先生の元へと向かった。私達はその様子を職員室の入口から覗く。
「いきなりバリカンでゴリ…、ダメゴリ!」
「罰ですよ、罰」
怒る椋木先生を気にする様子もなく坂本先生は答えた。その態度からは少し前までのおどおどしていた坂本先生の姿は想像出来ない。
「生活指導の主任は私です。こういう時は私を通してもらわないと」
「言っちゃ何ですけどね、椋木先生。いや、ここはあえてムックと呼ばせてもらいましょう」
坂本先生はそう言って椅子から立ち上がる。
「何故だ!」
「舐めているという意思表示ですよ」
「舐められているのか!くそう!」
「可愛いからいいんじゃないですか?」
「山口先生がそう言うなら」
相変わらず山口先生には弱いなぁ…。
「ムック…、あんたは生徒を指導できる器じゃなかったんじゃないですかね?あんたが主任になってからこの学校には随分とイカれた生徒が増え始めた!」
「何だと!」
椋木先生は近づく坂本先生に近づく。しかし、剛田先生が椋木先生を掴んだ。
「やりますか?」
「いや、よしたまえ。こんなおかしなホクロをおかしな位置につけていても軟高の教師だ」
坂本先生の指示には従順なのか直ぐに椋木先生を掴んでいた手は離れた。
「先生…ドアを見てください」
椋木先生は水谷先生にそう言われて職員室の入口にいる私達に気がついたようだ。
「椋木先生…!頑張って!」
先程まで弱気になっていたようだったが理子ちゃんの応援が効いたのか再び真剣な顔になり、坂本先生達の方を向く。
「君のやり方は…」
「前は何を?」
水谷先生が椋木先生の言葉を遮るようにして尋ねた。
「ヤクザです」
「君のやり方はある意味正しい。…まぁ、程々に頑張ってくれたまえ。期待しているよ」
先程までの勢いはどうしたのか剛田先生がヤクザだと知った途端、急に大人しくなってしまった。
やっぱり、椋木先生は椋木先生だった……。
椋木先生はおそるおそる私達の方を見る。もちろん私達は椋木先生を許すはずもなく、思いっきり睨みつけた。
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リリィ(プロフ) - 受験生さん» 感想ありがとうございます!嬉しいです(●´▽`●) (2019年1月4日 0時) (レス) id: ef18e6cd08 (このIDを非表示/違反報告)
受験生 - 墨汁wさすが三橋ですね。この小説大好きなので、更新頑張ってください。 (2019年1月3日 23時) (レス) id: f6013c941d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リリィ | 作成日時:2018年12月12日 2時